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【お持ち帰り《テイクアウト》】
「きゃははははっ!」
席に戻り、事の顛末を聞いた琴美は、ハンバーガーを頬張りながら大笑いした。
「もう、笑い事じゃないよ」
それを見た羽音は頬を膨らませたが、それでも琴美は笑うのを止めず、目元に堪った涙を指で掬いながらウケていた。
「音羽ちゃんらしいね。可笑しい」
「そ~かな~?」
少し照れたようにほんわかとはにかんだ音羽に、琴美は悪戯っぽい笑みを投げかける。
「だったら、一人ぐらい、連れてきちゃえば良かったのに」
もちろん、ほんの冗談のつもりだった。が……、
「う~ん~」
「……あれ?」
音羽が腕を組んで本気で悩み始めたので、琴美は冷汗を浮かべた。
「……お願いだから、そこで悩むのやめて」
それを見て、さっきの心配が現実になる予感に襲われ、呆れつつもちょっと本気で姉を止めようとする羽音だった。