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【選別方法】
音羽が、羽音の真似をしている。直ぐに気付いた琴美は混乱から脱しようとした。だが……、
「おとはこそ、なんで、人の真似してるの!?」
「な、なに言ってるの!?」
「えっ?」
先に出てきた羽音が、後から出てきた羽音を音羽だと言ったので、再び混乱に陥ってしまう。
「ほら、琴美も戸惑ってるよ?」
「それは、こっちの台詞!」
「えっ? えっ? えっ?」
言い争う双子の間で琴美は、目をぐるぐるさせながら必死に考えた。
(えーっと・・・・・・二人を見分ける方法は、確か……お腹を触るか・・・・・・)
学校での会話を思い出す。一瞬、躊躇したが、それしかないと決意して手を伸ばした。
「えいっ!」
後から出てきた羽音の胸に。
「きゃっ!」
「琴美ちゃん~、大胆~」
琴美の奇策に小さな悲鳴をあげた羽音を見て、素に戻り、あらあらと微笑む音羽だった。