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【道連れ】
「だっ、だったら!」
試着するのに頷いた琴美だったが、一人で着るのはやっぱり恥ずかしかった。そこで……、
「羽音ちゃんも一緒に着ようよっ!」
琴美は思いついた。道連れを作ればきっと大丈夫だと。
「あ、あたし?」
まさか自分に話が振られるとは思ってなかったので、予想外の展開に羽音は狼狽した。
「さっき、着てみたいって言ってたよね?」
「あ、あれは・・・・・・」
琴美があまりに必死なので、ますます戸惑いながらも羽音は言い訳しようとした。
「え~っ~!」
しかし、それよりも早く琴美の言葉を聞きつけた音羽が、驚愕の悲鳴を上げる。
「はのんちゃん~ お家で~、わたしが着てみてって言っても、いつも嫌がってたのに~!」
「あ、あれは・・・・・・・似合わないから・・・・・あたしのキャラじゃないし・・・・・・・・・・・・」
何故か興奮気味の音羽に、羽音はしどろもどろになりながら躊躇いがちに言った。
「そんなことないよ~。はのんちゃんが着ても絶対、可愛いよ~」
そう言って音羽はにっこり微笑んだが、それでも恥ずかしさに躊躇してしまう羽音だった。