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【琴美の謝罪】
「それより・・・・・・」
琴美はバツの悪そうな顔をした。
「ごめんね、羽音ちゃん」
それから真剣な目で謝る。
「・・・・・・何の事?」
その謝罪に、羽音は首を傾げた。
思い当たる節がなかったからだ。
今日のことなら、謝らなくていけないのは、自分の方だ。
琴美には非はないはずだった。
「あたしが羽音ちゃんを班長に押したから、いろいろ背負わせちゃって」
琴美は目をぎゅっと閉じて、早口で捲し立てながら地面におでこをぶつけるじゃないかという勢いで頭を下げた。
それを見た羽音は慌てた。
「そんなの全然、気にしてないよ」
意表を突かれ、胸の前で手の平をひらひらさせて、滅相もないという素振りをする羽音だった。