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【頬だけど・・・・・・】
羽音の唇がそっと音羽の頬に触れた。
「・・・・・・」
まるで本当に口づけしているような感覚に、羽音は脳の奥がしびれるのを感じた。
(おとは・・・・・・)
それは一瞬の出来事だったが、羽音には無限にも思えた。
(やっぱり、子供の頃とは違う・・・・・・)
羽音にとって音羽は好きな女性なのだ。
例え頬だったとしても、意味が変わってくる。
(あたし・・・・・・やっぱり、おとはの事が好きだ・・・・・・)
それを実感させるほど、頬にキスは甘くて甘美なものだった。
「・・・・・・~」
された側の音羽も、目を閉じて、幸せそうな笑みを浮かべていた。
名残惜しいようにゆっくりと二人が離れる。
「えへへへ~・・・・・・」
音羽は照れ笑いを浮かべた。
同じく頬を紅く染める羽音だった。