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【一線】
「なにやってるの!?」
ねだるように唇を突き出す音羽に、羽音はもの凄い剣幕で突っ込みをいれた。
「ん~?」
しかし、音羽は意に介さない様子で目を閉じたまま微笑む。
「ちゅ~」
その笑顔は乙女そのものだった。
「そんな・・・・・・」
躊躇ない姉の態度に羽音は混乱した。
「だって、あたし達、姉妹だよ・・・・・・」
心臓がバクバクとうるさいぐらいに鳴り響いた。
(おとはとキスできるチャンスだけど・・・・・・それは、超えちゃいけない一線だよ・・・・・・)
頭の中で悪魔が囁く。
”キスしちまいなよ。好きなんだろう?”
もう片方で天使が囁く。
”音羽は実の姉なんだよ。キスなんて絶対駄目だよ”
目をぐるぐるさせて、悩む羽音だった。