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【気休め】
地下鉄は無事、京都駅まで着いた。
薫が、あらかじめ検索しておいた構内図を見ながら目的の出口に誘導する。
そこからは徒歩だった。
やはり薫の先導でまだ明るい京都の町をひたすら歩いた。
門限は五時。
このまま行けばギリギリで間に合う算段だった。
ゴールが見えてきて琴美と薫、それに音羽はほっとした顔をしていた。
しかし、羽音だけは無言で下を俯いたままだった。
「旅にハプニングは付きものだよ」
そんな羽音を琴美は気にした。
「そうそう~」
音羽もそれに同意した。
「肯定だ」
薫も同様だった。
「うん・・・・・・」
それに対して、思い詰めたような表情で生返事で頷く羽音だった。