180/249
【音羽の提案】
「どうしよう?」
羽音は途方に暮れた。
乗れるはずだったバスには通過され、次のバスが来る気配はない。
「このままだと門限に間に合わない・・・・・・!」
動揺する羽音に、琴美は声を掛ける言葉が見つからなかった。
薫も思案しているが、いいアイデアが浮かばないようだった。
ただ、一人、音羽だけは周りを見渡して、なにかを探しているようだった。
目的のものは直ぐに見つかった。
「地下鉄で帰ろう~」
そして、提案する。
音羽は地下鉄の入口を探していたのだ。
「でも・・・・・・」
しかし、羽音は躊躇した。
事前に学校に提出した行動計画以外の移動手段を使うことは禁止されていたからだ。
「大丈夫だよ~」
そんな妹に優しく寄り添って、頭を撫でる音羽だった。