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【買い物を終えて】
「えへへへへ」
いつもなら値段で諦める服を買えて、琴美はホクホクだった。
「まさかこの限定グッズが買えるとは、思わぬ収穫だった」
薫もまた欲しものが買えて、いつもの真顔を崩して薄らと笑みを浮かべていた。
「よかった」
そんな二人を見て、羽音は胸を撫で下ろした。
いろいろ間違っている気はしたが、琴美と薫が満足してるのなら、これはこれでよしとしようと思った。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
携帯電話の時計を見た羽音が言った。
買い物にはかなり時間を取っていたが、そろそろ帰らないといけない時間になった。
四人は、今来た道を引き返して商店街を出た。そして、河原三条バス停でバスを待つ。
相変わらず時刻表通りには来ず、遅れて市営バス二〇五号(時計回り)がやって来た。
「時間大丈夫?」
「うん・・・・・・」
心配そうな琴美には頷いたが、内心はバスの遅れを気にする羽音だった。




