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【祇園に着いて】
バスは時刻表よりも遅れて到着したが、予約時間よりは早く祇園の町に着いた。
祇園の町並みは木造の建屋が建ち並ぶ、音羽や羽音、琴美や薫が想像した京都の風景そのものだった。
「えーっと・・・・・・」
あらかじめプリントアウトしておいた地図を頼りに、目的の店を探す。
「あっ、ここだ」
そこは見た目でも高そうだとわかる料亭だった。
「予約をしていた楠ですが」
入口で名を告げると直ぐに女中さんがお座敷へと案内してくれた。
豪華な飾り付けと金屏風に、四人は声も出なかった。
「わぁー!」
さほど待たずに料理が運ばれてくる。それはどれも豪勢なものだった。
「支払い、大丈夫?」
あまりの贅沢さに琴美は心配になって、こっそり羽音に聞いた。
「ここは修学旅行生向けで、値段も安いから大丈夫」
そんな級友の心配に苦笑いする羽音だった。




