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【壁】
「ここで入場券を買って」
「中学生は・・・・・・」
「これでいいかな?」
入場券を買って、音羽、羽音、琴美、薫は館内に入った。
ミュージアムショップを抜けると、直ぐに壁のように迫る本棚が目に入った。
「わぁー!」
その迫力に琴美は圧倒された。
「ふむ。凄いな」
薫も真顔だが、驚いている様子だった。
「ここには約三十万冊の本が所蔵されてて」
ここでも羽音は予習した知識で解説した。
「その内五万冊がここに並べられてるんだって」
羽音の立て板に水のような説明に、薫は真顔を微妙に崩して感心する。
「そうなのか・・・・・・」
「・・・・・・~」
そんなやり取りをほんわか笑顔で見守る音羽だった。