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双子姉妹  作者: 碗古田わん
第十話『自由行動日』
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『自由行動日』

 私立山手女学館修学旅行二日目は、自由行動日だった。

 降っていた雨も夜のうちには止んで、今日は快晴の天気だった。

 朝食は大食堂で、メニューは焼いた鮭に卵焼き、それにご飯とお味噌汁で海苔が付いていた。

 色々気になるお年頃だが、食欲も旺盛な成長期でもある為、用意された食事はあっという間に平らげられた。

 食事の後は、部屋に戻り制服に着替えると、荷物はそのままで部屋を出る。この旅館には今日も泊まる為、荷物の移動は必要ないのだ。

 とは言え、ほとんどの生徒は、必要最低限の荷物としてポシェットやトートバッグ、デイパックを持って出たのだが。

 ロビーに集合した生徒達は、担任の三代円(みしろまどか)から注意事項を説明されてから班ごとに出発した。

「じゃあ、これね」

 旅館を出た楠羽音(くすのきはのん)は、同じ班のメンバーに一日乗車券を渡した。

「これで、バス乗り放題なの?」

「市営だけだけどね」

 ツインテールところころ変わる表情がトレードマークの少女、夏川琴美(なつかわことみ)の問いに、羽音は乗車券を確認しながら答えた。

 京都には市営の他、複数のバス会社が乗り入れている。

 だが、この乗車券は市営バスだけ有効なものだ。もちろん、これから行くルートは同じ班のおかっぱ頭に度の強い黒縁眼鏡を掛けた少女、児玉薫(こだまかおる)に頼んで、市営バスだけで行けるようルートを組んでもらっている。

「最初はどこへ行くんだっけ?」

 一応、行く先のルートは頭に入っているが、確認の為、琴美は羽音に聞いた。

「マンガミュージアムだよ」

 すると羽音は、やはりスケジュールが頭に入っているようで空で答える。

「舞妓さんは~?」

 と、今度は楠音羽(くすのきおとは)が聞いた。今にも待ちきれない、そんな表情だ。

「それは、その後!」

 リードを離せば即飛んで行きそう勢いの音羽に、羽音は眉をつり上げて言い放った。

「舞妓さん~♪ 舞妓さん~♪」

 それでもウキウキ気分の自分と同じ顔――――軽くウェーブのかかったサラサラの髪を背中まで伸ばし、くりっとした目とぽっちゃり気味の頬が愛らしい美少女の姉に、羽音は軽いめまいを覚えた。

 音羽と羽音、二人は双子姉妹だった。

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