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【リードを引く】
「調子に乗らない!」
涙目の音羽を立たせると、怒り顔の羽音は、後ろから目にバスタオルを巻いた。
「見えないよぉ~」
音羽はジタバタと抵抗した。
「周りの安全の為だよ」
しかし、姉の抗議にも羽音はシビアに返す。
「ちょっと、やりすぎじゃない?」
もがく音羽を心配して琴美が口を挟む。
目を隠せば確かに周りは安全かもしれない。
しかし、音羽は着替えることもできなくなってしまう。
「そうだよ~。やり過ぎだよぉ~」
音羽は琴美の援護に同意する。
「琴美は初等部の修学旅行を知らないからだよ」
そんな音羽を無視して、羽音は大きな溜息をついた。
「えっ・・・・・・?」
その反応に、首を傾げる琴美だった。