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双子姉妹  作者: 碗古田わん
第八話『双子、西へ』
132/249

【強欲】

 音羽達は、滝の水を飲もうと列に並んだ。

 順番は、琴美、薫、音羽、羽音だ。

「滝の御利益は……」

 並んでいる最中に、羽音が修学旅行のしおりを読み上げる。

「右から健康、縁結び、学業だって」

 そこで琴美の番になった。

「あと……」

 杓を持った琴美を見て、羽音は早口で付け加える。

「全部呑むと強欲とみなされて、御利益が消えるそうだよ」

「!?」

 意気揚々と前に進もうとした琴美が、ギクッと足を止めた。

(全部呑む気だったな……)

 それを見た羽音は心の中で冷汗笑いをした。

「どれにしよう……?」

 琴美はちょっと悩んだ。

 それからおもむろに一番左――学業を選ぶ琴美だった。

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