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【京都到着】
そうしてるうちに、新幹線は京都駅へと着いた。
新幹線を降りた生徒達は、引率の教師に引きつられて烏丸口から駅を出た。
「わぁー、高い!」
直ぐ目の前にそそり立つ白いタワーに、琴美は目を輝かせた。
「本当だね~」
音羽もほんわか笑顔で見上げる。
「あれは、海の無い京都の街を照らす灯台として作られたそうだ」
真顔の薫がうんちくを披露する。
「……」
ただ一人、羽音だけは会話には加わらず、周りをキョロキョロと見ていた。
「伍組、バスに乗って」
担任の三代円の声で、班ごとに並んでいた生徒達が、待っていた観光バスに乗り込む。
それでも羽音は、周りを見渡すのをやめなかった。
「行こう、はのんちゃん」
「う、うん……」
音羽の声で我に返る羽音だった。