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【京都だよ?】
「もっと、京都らしいところとかないのかな?」
羽音は弱ったような顔で、三人を見た。
「京都らしいところって……」
琴美は困惑の表情を浮かべた。
「言ってもね~」
それを受けて、音羽が言葉をつなぐ。
「なんか、お寺とか、神社とか」
羽音は腕を広げて迫ったが、音羽も琴美も首を傾げていた。
「そう言われて……」
思い当たらない、そんな感じだった。
「そういうところは、団体行動日に行くからな」
そこで、薫が真顔で駄目を押す。
「……わかった」
その言葉で羽音は、これ以上は無駄だと悟った。
「それで考えてみる……」
諦め顔をするしかない羽音だった。