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【あたしじゃない】
薫の言葉に衝撃を受けた羽音だったが、直ぐに反論した。
「姉は音羽っぽいけど、あたしはこんな性格じゃないよ?」
「そうか?」
だが、薫は真顔で首を傾げる。
「だよね?」
その仕草があまりに自然だったので、不安になった羽音は琴美に同意を求めた。
「うん」
琴美は頷いた。
双子との付き合いはまだ日が浅いが、羽音の性格はもっとサバサバした美男子だと思っている。
「そうか……」
それを聞いた薫は真剣に考え込んだ。
「なら、そういう事にしておこう」
薫は独り言のように言った。
「……」
そんな薫を怪訝そうに見る羽音だった。