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【そして放課後】
帰りの学級会も終わり音羽と羽音は一緒に教室を出た。
「じゃあ、わたし~、委員会だから~」
「うん。いつもの所で待ってる」
今日は、部活は休みだが音羽は委員会があるので廊下で別れると、羽音はいつもの場所――昇降口の外へと向かった。
昇降口は硝子扉で五つある扉の内、真ん中以外は全て閉じられていた。一番右の扉の横に立った羽音は、硝子に映る自分の姿を見た。顔はもちろん、髪型や背格好、制服の着こなし方まで音羽に瓜二つだった。
廊下での琴美との会話を思い出す。
”二人って、よく似てるもんねぇ。髪型まで同じだし”
”双子だから、好みも似るんだよ”
羽音は、軽く溜息をつきながら少し申し訳なさそうな顔をした。
(……嘘ついちゃった)
それから改めて鏡に映る自分の顔を見詰めた。
(本当は、おとはと同じ姿でいたいから……)
その姿に音羽の姿を重ねて、無意識のうちに表情が切なくなる羽音だった。