決意
目が覚める
よく寝た気がする
ふと時計を見ると9時だった
完全に遅刻だ。何で母さんは起こしてくれなかったんだ。
苛立ちを覚えながら自室からリビングに向かう
リビングには誰もいなかった
何かがおかしい
そうだ。静かすぎる。家の中に誰もいないがそれだけじゃない
いつもは聞こえる車の通る音、近所の人たちの話声などの生活音がまったく聞こえない
聞こえるのは小鳥のさえずりだけ...
嫌な予感がする
スマホを手に取った。圏外になっている
不安が徐々に現実のものとなっていく
誰かと連絡を
連絡アプリシャインで家族友達に電話をかけていく。しかし、誰も出ない。最後に電話を掛けようとするがふと手が止まる電話しても良いかと
その相手は武下 友梨。
俺の片思いの相手だ。あまり接点がない。でも、この際そんなことも言っていられない
繋がった...
「もしもし、武下さん?」
「新井君?」
「うん」
「よかった。人が居て」
「やっぱり」
「起きたら誰もいなくて。そっちもいない?」
「うん」
得体の知らない不安が増大していく
通知が届いた。つゆりからだ
「いったん切っても良い?」
「うん」
「後で掛けなおす」
俺のユーザー名は名前の健太からとってケンだ
「ケン。居る?」
「起きたら誰もいなくて。怖いよ」
「大丈夫だ。こっちも人が消えた。」
「でも、一人クラスメイトと連絡が取れた。その子も起きたら人が消えていたみたいだ」
「ここだけじゃなかったんだ。でも、ケンがいることがわかって少し安心した」
「つゆり、これからは三人で連絡取りたいからシャインを交換しよ」
シャインには、複数人でチャットや通話ができる機能がある
「わかった」
武下さんにも説明して三人で連絡できるルームができた
通話を始める
「一応、自己紹介をしよう。まず、俺から新井 健太。つゆりとは、ネットで知り合って武下さんはクラスメイト」
「月山 友梨です。秋田県にいます。」
「武下 晴香です」
簡易な自己紹介が終わった。
「これから、どうする?」
「俺の考えでは、三人で行動する方が良いと思うけどどうかな?」
「それが一番だと思うけど、私秋田だよ?」
たしかにそうだ。でも、つゆりが一人だと分かってるのに何もしないのは嫌だ!!
「武下さんと合流して、俺らは秋田に向かう」
「ごめん。武下さん一緒に秋田までついてきてくれないか?」
無茶なことだとは分かっている。でも、これしか...
「良いよ。人数は多い方が良いし、月山さんとも会ってみたいし」
「ありがとう」
「俺たちが行くまで待っててくれるか?」
「ケンも武下さんもありがとう。もちろん、待ってる」
「大丈夫だ
必ずたどり着く!!!」