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あっという間の交流会

昼飯を済ませ、俺たちは今日の現場へと向かっていた。

あー!!ぽん様に早く会いてーよ!!

交流会でチェキ撮って話したいー!!

ぽん様あなたは何故そんなにも美しく可愛いのですか?

高貴な黒髪に純白の柔肌…たまらん!

ちなみに決していやらしい目でみてはいない。

…本当だよ?

説明しておくと、交流会とはいわゆる物品販売時間の事だ。チェキ撮影や特典くじ等があり購入した商品毎にメンバーと話せる時間が設けられており、チェキも撮れて憧れのアイドルと話すことも出来る夢の様な時間だ。

交流会での売上がグループとメンバーの収入源の一部だったりもする。

物品を買って推しを養う…まさにヲタ道だっ!


頭の中で誰に対してかもわからない謎の解説をして街中で脳内全力ヲタクを楽しんでいると

「あ、地味子だ」

七瀬が有名ラーメンチェーン店ス◯キヤの店内を見ながら呟いた。

「知り合いか?」

「クラスメイトだよ、ほらあの地味な黒髪眼鏡の子」

「おぉ、なんていうかthe地味を体現しているかのような子だな…」

「でしょ?wだから地味子」

「それ、悪口じゃないか?」

「違うよー失礼な!ななちゃんと聞いたもん!」

「なにをだよ?!」

「あの子に、地味子って呼んでもいい?って」

「…お前なぁ、どんだけストレートなんだよ…」

「いつでも全力直球勝負!!なぁーちゃんです」

街中で全力でアイドル時代の自己紹介をする妹

「父さん、母さん、あなた達の娘は今日も逞しく強く生きてますよ」

「いや、お父さんもお母さんも生きてるから!」

地味子の発見からたわいもない兄妹トークでふざけ合う俺たち。にしても、地味子の黒髪…ぽん様みたいだな。

「お兄ちゃん、どうせ地味子の黒髪見てぽんみたいだなとかぽん可愛いな、やっぱぽんしか勝たん!とか思ってるんでしょ?」

「そこまでは思ってない!」

「そこまではってぽんちゃんを連想はしてるじゃん!

あーやだやだ、こんなに可愛い妹がいるのにそれをさて置きぽんちゃんばっか可愛い可愛いってさ…どんだけ好きなんだよ」

「うーん…かなり好きだな」

「お父さん、お母さん、あなた達の息子は立派にヲタクをやってます」

「おいっw」

どうやら七瀬には見透かされているみたいだ…

まぁ側から見たら元アイドルの妹の兄なんて良ポジ持ってるのに他のアイドルに夢中な奴だもんな…

しかし、それでも俺はぽん様…いや、陽野(はるの)はるかが大好きだ!!


そんなこんなで現場に到着

「お名前とお目当てをお願いします」

「閃光アミュレットできたんです」

「閃光アミュレットでなぁーちゃんです」

俺たちは自分のニックネームとどのグループが目当てで来たかを受付で告げて入場した。

目当てを受付で言うのは複数グループが同じ会場でライブを行うため、集客率や入場特典がある場合の確認用みたいだ。


地下アイドルの入場特典は通常、自分達のグループ目当てで入場した人に限定されるので会場にいる人全てが該当する訳ではない。

例えばAとBというグループが好きだとする。

その2グループが同じ会場でライブを行う場合にファンはどちらかのグループ目当てで入場するかを選ばなければならい。

この選択でメンバーの対応や何かが変わる訳ではないが、両方に入場特典がある場合はどちらか一つのグループの特典しか受け取れないヲタ泣かせなシステムだ。


俺の場合は、陽野(はるの)はるか単推しなのでまったく問題はないんだけど。

念のため解説しておくと、推しっていうのは特に応援しているアイドルやグループに使う言葉だ。

俺の場合は閃光アミュレットの陽野(はるの)はるか推し。


単推しは推している人が一人しかいないという意味。

推しっていうのは恋愛ではないがあまり推しが多かったり推しを変える"推し変"だったり"浮気"なんて単語もある。男女のそれと似た部分もある繊細なものなんだ…


逆に推しが複数いたりする人はDD(誰でも大好き)なんて呼ばれたりもする。

単推しが偉いとかDDが偉いとか優劣がある訳ではないがアイドルも一人の女の子な訳で複数好きな人がいるよりは自分だけを好きでいてくれる人の方がやっぱりありがたいというか嬉しい。

と前に七瀬が言っていた。

どちらが正解でもないし間違ってもいない。

個人の楽しみ方で周りに迷惑を掛けなければ問題ない。

まぁ俺はぽん様単推しだけどね。


いよいよライブが始まる

閃光アミュレットのSEが流れてメンバー4人が暗転した

舞台上に立ち一瞬の沈黙が…

「守り抜いてゆく願いと〜希望諦めない〜protect the dream」

リーダーである成瀬姫乃の歌い出しから閃光アミュレットのライブが幕を開ける。

この曲は閃光アミュレット初のオリジナル曲にして伝説の始まりの曲「precious」だ。


何もかも上手くいかなくて

甘くなれない現実に落ちて

それでも光ある未来

ずっと、、、追い続けていく


ここからスタート

綺麗な光が導く明日はきっと輝く

強く強く眩しく描いてきた夢も

奇跡信じ届けたい

君の胸にもpromise the dream


諦めかけたそのときに

優しい光灯すアミュレット


ここからスタート

綺麗な光が導く明日はきっと輝く

強く強く眩しく描いてきた夢も


奇跡信じ届けたい

君の胸にも

(届いて!)

強く強く眩しく描いてきた夢も

奇跡信じ届けたい君の胸にも


protect the dream

promise the dream

precious my dream


何度聴いても神曲だ。

個人的にはぽん様の届いて!の部分で毎回昇天する。

このpreciousの個人的なポイントとしては、

編曲の格好良さとメンバー4人のソロダンスパートがあるところだと思っている。

そして、歌詞にも注目して頂きたい!

強く強く眩しく描いてきた夢も奇跡信じ届けたい君の胸にも…泣ける歌詞ではないか。

閃光アミュレットを推していて良かったと思える瞬間でもある。


その後、数曲のカバー曲を披露してライブは無事に幕を閉じた。


いよいよ交流会だ…

「閃光アミュレット交流会を始めますっ」

メンバー4人の交流会開始の合図が終わると俺は聖地に突入した。

「あ!きたん!よっ。」

「ぽん、今日のライブも良かったよ」

「嬉しい!チェキ撮る?」

「ピンチェキと2ショ撮る!!」

「よっしゃっ!」


推しとのチェキ撮影、なんとも素晴らしい時間だ。

まずはぽん様のピンショットを撮る

地下アイドルのチェキ撮影は基本的にはピンショットの場合はファンが撮り、2ショットの場合は運営さんに撮影してもらうというスタイルだ。

そして、2ショットだ…

「ポーズどうする?」

「ぽんのやりたいポーズでいいよ?」

「じゃあ、そこの壁にもたれてぽんの事見て」

「わかった」

ん?これはどういう構図だ?

頭の中でどんなチェキになるのか考えていると

ドンっ!!!!

「はぁう」

「きたんに壁ドンなう」


ぽん様…

卑怯だ!!!!

可愛いすぎる!!!!

天使かよ…

いや、回り回って悪魔なのかもしれない…

俺の推しが天使でも悪魔でも最強な件。


チェキの落書きタイムと交流時間が始まる。

ピンチェキで1分、2ショットチェキで2分なので3分間の交流時間がある。

「そういえば、今日来る途中にス◯キヤがあってさそこに黒髪の子がいて、黒髪かぁ…ぽんすこってなったw」

「なんだそれwでも、ぽん実は今日ス◯キヤ食べたよ」

「ましかっ!笑」


こんな会話をしていると3分はあっという間だ。

ピピッピピッ

時間を告げるタイマーが鳴る

「え?もう3分?ぽんまだ10秒くらいしか経ってない気分なのに…」

「いや、10秒は言い過ぎでしょw」

「うー寂しい…」

破壊力抜群のぽんの言葉にキュン死寸前だ…


あっという間の交流会が終わった。

この日から俺の奇妙な青春が始まるなんて考えもせずに

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