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第三話 とてもあたたかいです。


 夕食を食べ終え、私が食器洗いをしてると居間から声が聞こえてきました。



「なあ、心雪ちゃんって何歳なんだ?」

「さあな。俺も知らん。というか気にした事もない。ただ言えるのは俺が物心ついた頃からこの幼児体型だったということぐらいだな」

「余計なことは言わないでくださいッ!」



 私は台所から湊二郎様に聞こえるように言いました。

 私だって気にしてるんです! それ以上言わないでください!



「ねえ、心雪ちゃん何歳?」

「直接聞くなバカ。お前にはデリカシーがないのか」

柚葉(ゆずは)ちゃんと同い年ですよ」



 多久郎さんが台所まで顔を出して聞いてきたので、私が軽く答えると湊二郎様も多久郎さんもぽかんとした表情(かお)をしていました。



「柚葉? 誰だそいつ?」

「多久郎さんのお世話係りですよ。金髪で私と同じ猫耳のかわいい女の子です」



 私がそう教えるも湊二郎様は覚えてないのか首を傾げました。



「ほら、以前ホタテ貝をもらったじゃないですか」

「ああ! ホタテ貝の!」



 なんでそれで思い出すんですか……まあ、柚葉ちゃんのことはどうでもいいですね。

 ちょうど水も温まったようですので、湊二郎様のお身体を綺麗にして差し上げましょう。



「湊二郎様、準備ができましたよ」

「ああ、じゃあよろしくな」



 すると湊二郎様は着ていたお召し物を脱いでその肌を多久郎さんに見せびらかしていました。

 私はお湯とタオルを持って湊二郎様の近くに寄ります。



「え? お前らって()()()()()()なの?」

「は? 多久郎どうした? 心雪、これぐらい当たり前だよな?」

「はいっ、そうですよ? 私は湊二郎様のお世話をするよう湊二郎様のご祖母様である紗由理(さゆり)様に言いつけられてますので。上のお世話から下のお世話まで。全てこなしていますよ」



 私は湊二郎様のお身体を丁寧に拭きながら答えると多久郎さんからの目線が急激に冷えたものへと変わってきました。

 なにか可笑(おか)しなことでも言ったでしょうか?



「お前、俺の人生の先輩だったんだな……残念だよ。お前は俺と共に魔法使いになると思ってたのに」

「多久郎さんは魔法が使えるのですか?」

「いや、そういうことじゃなくてだな……」



 私は多久郎さんの言ってることが理解できず、首を傾げました。

 彼が何を言ってるのかわからなかったのは湊二郎様も同じだったようです。

 すると多久郎さんはため息を吐きました。



「そういえば湊二郎はその辺の知識浅かったな。心雪ちゃん、心雪ちゃんは繁殖行為って知ってる?」

「たしか……コウノトリさんが運んでくれると学校の先生が仰っていましたよ」

「(コイツもか……!)」



 何故か多久郎さんは深くため息を吐いて居間から出て行ってしまいました。

 お手洗いでしょうか?



「湊二郎様、次は下を」

「ああ、わかった」



 湊二郎様が下を脱ぎ始めたその時でした。玄関の開く音が聞こえ、廊下に足音が響くと居間の扉が勢いよく開きました。



「心雪! お主は一体なに……を……? 男の股間を女に拭かせるヤツがどこにおるか!!」

「ゴフッ!?」

「湊二郎さまっ!?」



 猫耳金髪少女に湊二郎様が殴られました。

 この猫耳金髪少女こそが多久郎さんのお世話係りである柚葉ちゃんです。ちょっと……いえ、かなり婆臭いです。



「心雪! お主はなんでそう知識が浅いのじゃ!?」

「ちょっ!? 人をバカみたいに言わないでくださいッ! これでも学科部門首席なんですよッ!?」

「……心雪、それマジか?」



 私が柚葉ちゃんに反論すると湊二郎様が私の肩に手を乗せて真顔で尋ねました。

 なんかスゴい疑われてます。とても心外です。



「本当ですっ! そうでなければ湊二郎様に勉強なんて教えられませんっ!」

「……すまん」

「イタい人を見る目で私を見ないでくださいっ!」



 どうして私をそんなアホの子みたいに見てくるのですかっ! 見た目ですか!? やっぱり見た目なんですかっ!?

 幼女みたいな見た目で悪かったですね!!


 私はお湯とタオルを持って外へと行き、お湯を捨てて裏庭にある洗濯桶の中にタオルを入れました。



 裏庭から縁側を見ると湊二郎様が座っていて、私を呼び出していました。

 私は仕方なく湊二郎様の元に寄ると湊二郎様は私の腰を引っ張ってきました。



「きゃっ!?」



 ポフリと柔らかい感覚がして見上げると湊二郎様の顔がとても近くにありました。

 思わずそっぽを向いて離れようとしますが、湊二郎様が強く私を抱き締めて離してくれません。



「ーーっ!? ~~~~っ!?」

「心雪は昔っから同じ反応するよな。ほら、コレやるから機嫌直せ」



 湊二郎様は私の口にチョコレートを入れてきました。

 ……あれ? このチョコレートって……



「私の隠してたチョコレートですかっ!?」

「心雪が俺に隠し事なんて1万年早い」

「あうっ!」



 湊二郎様は私の額を中指で弾いてきました。

 すると湊二郎様は私の腰を手前に引いて湊二郎様が私に抱きしめてきたので、私も湊二郎様の背中に手を回してゆっくりと抱きつきました。


 とても温かいです……少し前までは私が膝枕とかして抱きしめていたはずなのに、今はその逆だなんて……本当に大きくなられましたね。



 その夜、私は湊二郎様に抱きしめられたまま眠りについてしまったのでした。



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