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第十話 湊二郎様はニートです。


 卒業式を終えた湊二郎様はあれから毎日のように家にいます。

 はっきり言ってニートです。若者は外で遊んでくるべきです。



「誰がニートだ。高校の課題がもう出てるんだよ」

「……聞こえてました?」

「ああ」



 湊二郎様は頷きながら答えました。


 どうやら聞こえてたみたいです。


 心の中に留めて置いたつもりでしたが、うっかり声に出してしまったようですね。

 それにしてもまだ高校生にもなってないのに高校から課題が出るなんておかしな話ですよね。



「湊二郎様、今日は天気も良くて、日光が心地よいので私は寝ます」

「そうか」



 私は着物から浴衣に着替え、居間の日光が当たる部分に布団を敷いて横になります。

 湊二郎様が学校に行かないと洗濯も数日に1度で良いので、そこは助かってますね。

 ここは暖かいのでこれはすぐに眠ってしまいますね……



「すやぁ……」

「(寝るの早っ!?)」




 それから時間が経ち、夕食の準備をしなければならない時間になってしまいました。

 けれど、私は布団から出ることができません。布団には私をダメにする能力があるようです。



「そーじろーさまっ、晩ごはんは抜きでよろしいですか?」

「良いわけないだろ。さっさと準備しろ」



 湊二郎様は私の布団の中に入り、私を布団の外へと追い出しました。すると湊二郎様はそのまま私の布団で惰眠を貪り始めました。



「寝所、取られちゃいましたね」



 私の力ではどうしようもないので夕食を作ることにしましょう。冷蔵庫には卵があったはずです。目玉焼きで軽く済ませましょう。


 私は野菜で気絶した日から学習しました。その結果、野菜は湊二郎様に必要なもの最低限を買い、絶対に食べたくないピーマンは買わないことにしました。


 そして調理を始めること30分、お味噌汁が焦げました。



「…………」



 ほんの少し顔が紅く染まりましたが、私は気にしてはいけないと調理を再開しました。

 それから少し経つと夕食の準備ができましたので、湊二郎様を起こします。



「湊二郎さまっ、夕食の準備ができましたよ」

「んー? ああ、ありがと……」



 私の瞳には湊二郎様が寝ぼけてるように見えました。

 寝ぼけてるフリかもしれませんので、確認してみましょう。



「今日は一緒にお風呂でも入りますか?」

「んー、そうだな……一緒に入ろうか?」



 ……これは確実に寝ぼけてますね。では失礼させてもらいます。


 私は棚から1つの機械を取り出して湊二郎様に聞きます。



「湊二郎様、今日は添い寝してあげましょうか?」

「ああ、そうだな……」



 添い寝の許可をもらってしまいましたよっ!?

 私、お風呂だけじゃなくて添い寝まで……! こ、これはもうけっ、けっこん……してもおかしくないですよねっ!?



「湊二郎様、け、けっ━━━━」



 や、やっぱりムリですッ!! そんな恥ずかしいですよぉ……


 私が赤面させて顔を手で覆ってるうちに湊二郎様はお目覚めになったのか、私に冷ややかな視線を送ってきました。



「心雪、なにしてんだ?」

「そ、湊二郎さまっ!? いえっ! なんでもないですよっ! い、いただきますっ!」



 私は上手く誤魔化して夕食を食べ始めました。

 ほ、本当に一緒にお風呂に入ってしまってもよろしいのでしょうか……?

  あの滅多にお風呂に入らず、いつも私に身体をタオルで拭いて貰っている湊二郎様と……?

 湊二郎様の裸には小さな頃から見ていたので大丈夫なんですが、私の裸を見られるのはちょっと……



「心雪も遂に壊れたか」

「壊れてませんよッ!?」



 湊二郎様のお皿は気づいたら空になっていました。

 いつも通り早いですね。私はまだ目玉焼き1口とご飯を少量だけですよ。


 そして、私は湊二郎様側に立って先ほどの私の行動を想像しました。

 すると私は顔を赤面させてうっとりしたかと思えば、少し困ったような顔をしたりと無言で表情がコロコロと変わっていました。


 これは湊二郎様に壊れたと思われても仕方ありませんね……

 それから夕食を食べ終え、食器を洗い終えたところで、私は台所で深呼吸をし、湊二郎様をお風呂に誘うための覚悟を決めていました。



「そ、湊二郎さまっ……お風呂の準備ができましたよ……」

「ああ、そうか。じゃあ頼む」



 湊二郎様は私の予想した通り、その場で服を脱ぎ始めました。

 私の作戦はこうです。

 湊二郎様の服を奪って逃走。湊二郎様を温泉に(おび)きだします。次に隙を見て湊二郎様を温泉に突き落とします。私が服を脱いで入ります。完成ですっ! 理想としては湊二郎様が私にキスとかしてくれれば良いのですが……まあ、湊二郎様なので期待はしてません。


 では、作戦決行ですっ!




おまけの設定 ~心雪と湊二郎の住む家~


【母屋】

・平屋立てで二階はなし。

・部屋は居間と湊二郎の部屋、客間、台所とトイレ。

・地下室がある。(心雪の貯金が置いてある)

・冷蔵庫とガスコンロはあるが、洗濯機とテレビはない。

・日向ぼっことか最高だなと思ったので縁側がある。


【庭】

・庭は広めで川が流れている。

・描写こそ無いが、水車で発電している。


【その他】

・母屋の他にも心雪の思い出が詰まった離れ屋がある。また、離れ屋の隣には温泉がある。



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