プロローグ
太陽暦2222年、宇宙より飛来してきた隕石によって人類が絶滅しかけた。
しかし、その隕石は1つの奇跡をもたらし、1種の動物が急激な進化を遂げた。それこそが「猫耳」である。滅びかけた人類は彼らが知識を得る前にソレを利用した。
人々はこの日を太陽暦の終わりとし、新しい世界を切り開く為に月詠暦を作り出した。
これが、全てのはじまり━━━━━━
「ほ、本日より湊二郎様の身のまわりのお世話を仰せつかる、心雪です! よろしくお願いします!」
翡翠の瞳に透き通るような銀色の髪を持ち、まるで雪の精霊かと思わせる少女はベッドの上で横たわる1人の老婆に挨拶をしていた。
「心雪、湊二郎はまだ小さいけど、きっと良い子になるから、仲よくしてあげてね?」
「は、はいっ!」
「ゲホっ! ゲホっ! ……私はもうダメね。心雪、あとはお願いね……」
老婆は震えながらも腕を上げてきた。少女はその手を掴むと老婆は涙を流した。
「ごめんなさい湊二郎……おばあちゃん、ここまでで……」
老婆は手の力が抜け、そのまま息を引き取ると少女は老婆の手をそっと置き、老婆の耳元で小さな声で囁いた。
「お任せください。湊二郎様は必ず私が守りますので━━━━━━」