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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第五十五話

「万策尽きた……」

 結と凜華とリジェネが通路の床に転がる。

 前者二人が目覚めて十数分。

 三名は新型デザイアが格納庫をほぼ全て同化したことを受けて、何か対策を打とうとした。

 しかし。

デザイアの行動の結果できた白銀の物体を、デザイア撃破のため破壊を試みるも一切攻撃が通らず。

助力を求めようと通信を行ってもデザイアの力の影響か繋がらない。

 電波でも魔術でも同様。

 ならば基地の上層に上がって直接助力も求めようとするも、ここでも新型デザイアの邪魔が入る。

 上に上がるための通路どころか、上層と繋がる部分がすべてにおいて同化によって分離。

 同時に天井は硬化。

 上ることも、強引な突破も不可能となった。

 この層で無事なのは結たちのいる通路部分と、とある艦艇が置かれている隣接格納庫のみである。

ちなみにこれらは分断され、繋がっていない。

「これからどうすればって……よくあるなあ……」

 助けを求めることもできず、眼前に堂々と居座り続ける繭のようになったデザイアの処理もできず終いであった。

「ま~たデザイア招いちゃって……無能……」

「急に出てきたから……ヴァルキュリアス隊員に罪はないと思うけど……」

「どうでもいいのよ……」

「リジェネ何かこじらせてる……」

 どうしようもなくなった三名は、一応アーマード・パッケージを纏ったまま、通路で重い空気の中ぼんやりと話し込んでいた。

「っていうか新型役に立たなかったね。結……」

「うん……」

 結のARPX-03改二には背部の刺装小砲[貫(つらぬき)]という貫通型射撃武装や、ディバイダブレイドといった剣型高性能武装があったのだが、いずれも大規模破壊に適した物ではなく、局所的な攻撃が主だ。

 強靭なデザイアの分厚いようである白銀の物体を一度に完全破壊することができない。

 一度でやらねばならない理由は、デザイアの力により繭の損傷は瞬時に再生しまうためだ。

 貫通しても、切ることができても再生は許してしまう故、何度やっても同じ事の繰り返し。

 イタチごっこだ。

「……一個も力使えなかった……」

 結の謎の力も全く発揮されずであった。


「閉じ込められたというところかの」

「何でですかね」

「かなりの硬度じゃ。簡単には崩せそうにないのう」

 無事な場所のうち一か所。

 隣接格納庫において。

 アメヴィスらはそのあまりに巨大な空間で話し込んでいた。

「完全に外界と隔離されちゃってます」

「間違いなっしんぐ」

「イエスイエス」

「そうでごわす」

 同じ場所にいる数十名のうち一部の調査の結果、彼女等は完全に閉じ込められ、その空間ごと孤立した状況に在ることが、嫌がおうにでも知らされてしまった。

「タクティカルの火力でも無理よん」

「どうしたもんかの」

「ややこし過ぎるほどに無名の割に語尾が特徴的なのが多いのである!」

「お主もそうであろう?」

「いいからどうするのか決めろよ、アメヴィス」

「今呼び捨てせんかったか?」

「そんなことはどうでもいいだろ」

「口悪いのぉ」

「どうするのどうするの?クローディアの整備続けるの?」

「そうじゃの。こいつならいけるかもしれぬしの」

 そう言うとアメヴィスが振り返る。

 彼女の視線の先。

 広大な空間の大半を占有する巨大物体。

 通路や格納庫が剥き出しであり、重要な部分ほどその範囲が強い。

 ブリッジの外装もまた、その例に漏れない。

 巨大な、そして見た目からは明らかに未完成な艦艇がそこに鎮座していた。

 これこそは作戦を見越してじっくりと設計され、建造された[弩級攻撃可変空母]一番艦クローディアであった。

 見た目こそ未完成な物であるが、実際艦本体はすでに完成している。

 現在、一応の整備や動作確認を行っているのだ。

 問題ないと判明すれば。

「術式起動で装甲を生成すれば完全体になるのじゃ」

 この艦艇には刻印術式が各所ふんだんに使用されている。

 超大出力の多数直結型マナブーストジェネレーターから供給される膨大な魔力から、耐久性を追求した装甲素材のデータから艦の装甲が術式によって生成され、脅威の耐久性を持つ巨大艦艇が完成するのだ。

 この方式なら刻印術式のデータの操作次第で、既存の装甲材よりはるかに強固なものを装甲に使用することができる。

 海上でデザイアの猛攻にさらされても十分に生き残れるの物が。

 因みに全体を刻印術式で作らない理由だが、単純に情報量があまりにも膨大すぎるため、できたものでは無いからである。

 クローディアは全長2㎞(キロメリ)、横幅500m(メリ)もの超弩級艦として造られる。

 刻印術式ですべてを代用するなどもっての外。不可能である。

「でもかかるよん。まだまだ」

「分かっておる。童も手伝おう」

「何で作戦前にこんな障害が出るんだかな」

「イエスイエス」

「ごわーーす」

 十数名の者たちが話しながらも作業に取り掛かった。



「……食べ物欲しい……」

「お腹減った……」

「……」

 三名が特にできることもなくなり、ぼうっと過ごし続けて約二日。

 その合間に再度繭の破壊を試み。

 当然失敗し。

 いつからか三名は暇つぶしにパッケージを使って軽く遊び。

 すぐ止めて。

 通信は何度やっても繋がらないの一点張り。

 結果何一つ変化なしに時間だけがただ過ぎ。

 そして問題が発生した。

 食糧である。

 水はリジェネが魔術で魔力を集めて生成できるためどうにかなったが、食料はどうにもならない。

 今層の通路で孤立しているため仕入れ先もない。

 ただ腹が減るばかりであった。

「どうにかなってくれないかな……このデザイア」

「できるなら私が倒したいけど……」

 二日経った今現在でもデザイアの様子は変わりなかった。

 繭状態のままを維持。

 何かを準備しているのかもしれない。

「二回目のボス戦の用意してるの?章の締めに……」

 凜華が空腹で鳴り続ける腹を抑えながら呟いた。

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