第一章[新たなる者たち]第四話
「では~、始めますよ~」
エーテルが、選別の開始を告げる。
ガラス張りの部屋の前に並び、順番を待つ。
次々と検査が行われ、すぐに結の番が来る。
「では、やりますね」
担当の宝玉種の女性が言う。
その指示に従い、様々なことを行う。
自身の習得している魔術や、剣技を披露する。
「ふむふむ。魔力の属性は、炎、聖の二重属性。そして、覚醒者。剣もそれなりに使えると」
設置されたモニターを見ながら、女性はぶつぶつ呟いく。
その後、隣にいた補佐と話し合って、
「終了です。お疲れ様」
そう言って、部屋の外に出させてから、次の人を呼ぶ。
「ふぅ」
そっと胸をなでおろす。
少し緊張したが、無事終わったようだ。
後は、後日結果を聞いて、念のための最終確認の試験運用を行うだけだ。
「やっと終わった~」
凜華が出てくる。
彼女も、今終わったところのようだ。
「結、うまくいった?」
「うん。たぶん」
ゆっくりとうなずく。
「じゃ後は、後日のあれだけだね」
「そうだね」
三日後、
「え――と、あった!」
基地の格納庫前にある魔動電子掲示板の前に、結たちはいた。
今日は、先日の選別の結果発表の日だ。
掲示板に表示されている型番の機体を、この後試験運用することになる。
「私のは、ARPX-03改[ソードデバイス]か。改?専用機かな?どういうことだろう」
首をかしげる。
なぜ自分に専用機が。そういえば、選別の時、覚醒者とか何とか言われていたような気が。
「どうだった?結」
凜華が聞いてくる。
「私は、ARPX-16[影華]だって」
「私は……」
自身の使用パッケージを伝える。
「へぇ、専用機。あの時の力があったからじゃないの?ほら、私を救ってくれた」
二年前の話を振り返る。
「懐かしいね」
「ほんと、ありがとうね」
凜華が、感謝の言葉をくれる。
「そんなことないよ。最初に凜華が助けてくれなかったら私もそこで終わりだったし」
「そう?」
そうして、二人でお礼を言い合っていると、
「あの~、私も混ぜてくれませんか?」
若干涙ぐんだ声が聞こえてくる。
「?」
凜華の髪が、ごそごそと動き、ミューティが顔を出す。
「ミューティもいたの?てっきりいないのかと」
「扱いひどくないですか?三日前の時もいましたし。でも出番なかったですね。その前のシーンも……」
やさぐれている。
虚ろな目で、ぶつぶつ言っている。
シーンが何だかんだと意味のよく分からないことを。
「あっ、ちなみに私の機体はSTPA-05[シルフィード]です……」
さらっと言ってくる。
一応彼女も選別に参加していたのか。
そういう話を聞いていなかったので、いないのかと思っていた。