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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第三十六話

「……ううん?」

 ルビリントは目を覚ます。

 額の魔晶石をこすりながら起き上がる。

 若干表面に傷ができてしまっているが生命活動に問題は無い。

 魔晶石に一定レベル以上の傷や損失が起こると、宝玉種は生命活動に影響が出るのだ。

「何か痛い……」

 ぶるぶると顔を振り、ぼんやりとした意識を覚醒させる。

 意識ははっきりしてくるが、視界はまだフラフラである。

 何となくで見える範囲で周りを見てみる。

 自分がいるのは森の中と理解する。

「……え~と、どうしたんだっけ?」

 ルビリントは何となく機体の状態を手で触れて確認する。

 大破。

 恐らくそうとしか言いようのない損傷具合だ。

 これでは展開したままだとむしろ邪魔だ。

 解除した方がいいだろう。

 そう考え、機体を消滅させる。

「ふぅ……」

 次第に視界がはっきりしてくる。

 すると。

「バハムート?」

 木々の隙間から幻竜種の十二勇者、<覇竜帝>バハムートの姿が見える。

「何でお前らここにいるんだ?」

 彼女が首を動かしてルビリントの方を向く。

「……ふぇ?ああうん」

 疑問を口にする彼女に、ひとまず返事をするルビリント。

「ククルカンの頼みで」

「ここに出たデザイアを倒しに来たんだけど」

 ルビリントの近くに倒れていたアメジスタが起き上がって言葉をつなぐ。

「[ルシファー]のことか?」

「「るしふぁー?」」

 同時に言葉を発する二人。

「……それもいいけど……バハムートもなんでいるの?」

「[ルシファー]ぶっ潰すために来たんだよ。まぁ、知ったのは来てからだけど」

「その[ルシファー]って何なの?どこかで聞いたことある名前だけど」

 アメジスタが問う。

「ここいたデザイアに付けた名前だよ。あの堕天使っぽいの。見てねぇか?」

「……ふやぁ~。確かに。あのドームの中から出た」

「私たちが戦ったやつね」

 ルビリントがあくびをしながら言い、アメジスタが付け足す。

「あれ、その[ルシファー]?は?」

「戦闘なら終わっちまったけど?しっかし、[ルシファー]が出した[ヴァリアス]の蹂躙するのは楽しかったな~」

「お、終わったの……?」

「おう」

 顔をルビリントたちに近づけようするバハムート。

 ふと、

「わざわざこんな狭い所でこの形態でいる必要はないか」

 彼女はそう言って空気を吸う。

 すると、その巨体が光る。

「解除っと」

 竜の体がみるみる縮んでいき人ぐらいのサイズになる。

「まぁこういう所だとこの形態がいいよな」

 肩を回す。

「で、まぁここでのバトルは終わっちまったよ。できればこの手で[ルシファー]倒したかったんだけどなぁ」

「その口ぶりだと他に誰かいて、デザイアを倒したみたいだけど」

「ああ。他に……何人いたっけ?え~と、まいっか」

「種族は?」

「人と幻獣と……あといろいろだな」

「……その人達があれ倒したの?」

「いや、一人か。とどめ刺したのは。過程は複数でやったな」

「どうしたの」

イアが三人のもとに近づいてくる。

「ああ。なんでこいつら此処にいるとかいろいろ話してんだけど」

「……ああ、こんばんはイ……」

 ギロッ

「あ、すみましぇん……」

「分かったならいい」

「?」

 アメジスタは十二勇者ではないため、イアは名前を教えるのを制限した。

 まぁ、種族の中ではルビリントと近い位なので教えてもいい気がするが。

「……まあそれはいいとして。結局デザイアは他の者たちによって倒されたってこと?」

「そうだぞ。お前らがいつから居んのか知んねぇけど」

「こっちが全員気絶している間にか」

「!ってことは……」

 何かに気付くルビリント。

 同時にアメジスタも。

「私たちが全滅し、倒れている間に会合したデザイアは倒された」

「じゃぁ、私たちって……」

「「カマセ?何じゃ……」」

「ふ~ん?ま、最初に戦って全滅したってんならそれはカマセかもな~ハハハハハ!!」

 ハモったルビリントとアメジスタの言葉に、笑いながら返すバハムート。

「う……宝玉種始祖が二人、うち一人は十二勇者がカマセ……」

「「はぁ~~」」

 どんよりとした気分になり、ため息をつく二人。

 まさか自分たちがカマセ役に回るなんて……

 予想だにしなかったことであった。


 日が落ちる前。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

 空に甲高い声が響き渡る。

 その源は今もって空を吹っ飛んでいくプリズムハートである。

 [ルシファー]に投げられて未だなおこの状態である。

 延々と。

 景色が猛烈な速度で動いていく。

森、森であったが、いつの間にか都市が見えてくる。

[レリス]の首都[プラネシア]だ。

「わあぁぁぁぁぁぁ……?あ、あれは……」

 それに気づくプリズムハート。

 一応それなりの時間、宙を突き進んでいた。

 そのため、空気抵抗で速度は徐々に落ちてきた。

 よって周りに意識を向ける余裕が、体への衝撃が軽減されたことでできたのであった。

 ただ体勢を立て直すことまではできない。

「[プラネシア]……?やった!どこかの建物に突っ込めば止まれる~☆」

 建物に突っ込んだら潰れてしまいの気がするが。

 いや、パッケージの防御力があるのでその点は大丈夫か。

 けれど今度は別の問題がある。

 建物との激突に耐えられるのなら、そのまま中に突っ込んでしまう。

 そうしたら確実に中にいる者に被害が及ぶだろう。

 いや、そもそも突っ込むという前提自体がおかしいか。

「あはははははは☆!」

 そんなことには考え及ばず、態勢を立て直すのに問題ない速度に落ちていたのにも気づかず、徐々に高度を下げて宙を舞っていくプリズムハート。

 彼女のその先にある建物が見えてくる。

 そびえ立つ塔型の古風な物件。

 プリズムハートの家だった。

 今そこには一人の聖翼種の女性がいた。


「リリエル、一体どこに?」

 彼女は自身の部屋の窓から外を見ていた。

 いるはずの妹は家にいなかった。

残っているのは、なぜか開いている窓。

ここから外に飛んででも行ったのだろうか。

それに気がかりなのは、妹に運ぶように頼んだものがない事だった。

まさか、うっかり起動させてしまったなんてことはない。と信じたいが。

「ん?何かがこっちに向かってくる?」

 遠くに見える何かに意識を向ける。

 よく見ると、その何かは一人のパッケージを纏った聖翼種の少女だった。

「弾みたいに飛んで……はっ!?そうだ!」

突如、彼女の中で何かのスイッチが入る。

何処からともなく一本の槍を取りだす。

途轍もなく細かく、精度の高い装飾が行われているものであった。

神器[■■■■■]。

見る者が見れば、その力に気付く伝説の業物なのだが……

「向かってくる弾は撃ち返さないと、ね!」

 彼女はそれをバットを構えるがごとく持つ。

 それをこんなことに……

 そして、飛んでくる聖翼種の少女を見、翼を広げて、窓から外に躍り出る。

「あ!お姉ちゃん!」

 その少女が彼女の方を見てうれしそうに声を上げる。

 しかし、彼女は。

「さ~て、久しぶりに打ちますか!」

 興奮しきって聞いていなかった。

 まぁ、元から距離的に聞こえずらかったが。

「あれ?」

 聖翼種の少女は嫌な予感がし、ひたいから汗を流す。

 そしてなお彼女の家、姉の所に勢いのまま突き進んでいく。

「非常にいやな予感が……」

 そこで体勢を立て直すことが可能であると気づくが、遅い。

 家は目の前に迫っていた。

「そ~れ!」

 彼女の姉は勢いのまま槍を上から下に振りかぶる。

神器たるそれに彼女力が上乗せされ、強力な一撃が、

「うごほっほ!?」

 プリズムハートを襲った。

 思わず変な声が出る。

 そして、

「ふん!」

 加えられた力のまま、彼女は地面に……

「!?」

 頭から突っ込んだ。

「……うう」

 ぴくぴくと震える彼女。

 その見た目はメカ娘が逆さにキノコのごとくは得ているようだった。

 ネタ要員っぽく醜態をさらしていたのであった。

 その次。

 彼女の体が光る。

 パッケージはそのままに、プリズムハートの姿が変わる。

 変身解除。

「あれれれ……?」

 地面に埋まった頭からくぐもった声が流れてくる。

 直後に彼女のみを覆う光が消えていく。

 そして変わった、というか元の姿になる。

 聖翼種の少女、リリエルの。

「リリエル?」

 彼女の姉が振りかぶった槍を右手に持って、不思議そうな顔をして滞空する。

「弾に見えたからつい打っちゃったけれど、リリエルだったの?」

 困惑が声ににじみ出る。

 いなくなっていた妹が吹っ飛んできて、しかもその姿はさっきまで変わって……

「!姿が変わって……」

「う~ん、よいしょ!」

 リリエルが地面から顔を引き抜く。

 彼女は顔をぶるぶると振り、そこについた着いた土を払う。

「あれ?家?」

 頭の上に?マークを浮かべながら周囲を見まわすリリエル。

 その動きで彼女の翼が微細な振動を起こし、そこから数枚の羽根が舞う。

「リリエル」

 彼女の姉が、リリエルのんを呼びながら彼女のもとに翼を僅かに動かしながら降りてくる。

「あ、お姉ちゃん。アクエリアお姉ちゃん!」

「はい。アクエリアお姉ちゃんです。いや、そのやり取りはどうでもよくて」

 手を振ってそのやり取りをエア棚に押し込み、リリエルの姉、アクエリアが地に足をつける。

 翼を折りたたみ、リリエルのもとに歩いていく。

「う~ん。さっきまで誘拐されて変なところにいた気が……」

「ねえ」

「……何?お姉ちゃん」

 クイッと首を動かしていうリリエル。

「私が運ぶように頼んだあれに触れなかった?」

 アクエリアは額から汗を流しながら質問する。

「あれ?」

 リリエルが首をかしげる。

 何事だったか。

 数秒の沈黙。

 その後。

「……あ、あのパッケージのデバイスみたいな」

「そうそれ。触った?」

「……あ~。ちょっと落としちゃって、壊れたりしてないか確認しようとして……」

「触れてしまったと」

「うん」

「あちゃ~」

 アクエリアが額に手を添えてため息をつく。

 やっちゃってたか……

「どうしたの?」

「いやーーあれ、ロストアームズなんだけど」

「へ?」

 同時にリリエルが纏ったパッケージの装甲の隙間から何かがぽろっと落ちる。

 パッケージのデバイスによく似ているが、違う点は輝ているところである。

「それ。そのデバイス」

「これ?」

「そう。それはロストアームズ、<神格付与>。使用者の能力の一部を神格級に引き上げる遺産。まぁ、言葉ほど都合のいい物じゃないけど」

「都合のいいじゃない?」

「使用者の人格に、当人の性質によって影響を与えるの。後使用前後で記憶が飛ぶ」

「はぁ」

「それをリリエルは使ってしまったってこと」

「う~ん?記憶ないけど」

「使用前後で記憶が飛ぶって言ったでしょ」

「それで覚えてないってこと?」

「そう。けれどロストアームズとは知らなかったとはいえ、迂闊に使用してしまうなんて」

「?」

 全くもう。

 リリエルの間にアクエリアが立つ。

 右手の槍の向きを反対にする。

 それを少し上にあげて、

「うひゃっ!?」

 こつんとリリエルの頭に軽くぶつけた。

「わざわざこの私が頼んだんだから、それなりに危険がある物って察知して欲しかった」

「そ、そんな無茶な……」 

 頭をさすりながら言うリリエル。

「いくらお姉ちゃんが<熾天使>アクエリアだって、私がすごいわけじゃ……」

「まぁそれはそうだけども……」

 


 

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