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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第三十五話

「裸……」

 気絶した結を見てイアが呟く。

 [ルシファー]によって、結が唯一着ていた水着は切り裂かれた。

 その結果、彼女の体はほぼ全裸となってしまったのだった。

 そして、その体は傷だらけである。 

 すぐに治療した方がいいだろう。

「そういえば、一緒にいた奴がそこに……」

「あ、私だけど」

 バハムートが凜華を見、彼女が名乗り出る。

 凜華は先の[ルシファー]最後の重力強化で潰れた機体を展開解除。

 負荷のダメージが残る体を如何にか起こし、頭を振って立ち上がる。

 外傷はないのだが、内側が痛むのだった。

「こいつ、傷だらけだし。医療してやんな」

「は、はい」

「おい」

「ふん。分かった」

 そう言うとイアは腕部ユニットで結の体を優しく掴んでバハムートの背から飛び降りる。

 機体は重そうだが、それに反して着地したときの音は小さかった。

 意外と機体は軽いのか。

「さ」

 抱きかかえた結の体を凜華に差し出すイア。

 凜華はまだ少しふらつく体で受け取る。

 結の少し軽めの身が凜華の手に乗る。

「傷だらけ……」

 戦闘の時は気を配る余裕がなかったが、傷はかなりひどかった。

 血はいつの間にか止まっているのだが。

「パッケージで飛んで連れていこうかな」

 そう言って凜華は三度目の機体展開を行う。

「う、重い……」

 体力はかなり消費されていた。

 ここまで消耗した今、パッケージを纏うだけでもかなりきつかった。

 それでも。

「助けてくれたんだから。それに大事な友達だし」

 二度も助けられている。

 自分も少しはお返しを。

 そう考える凜華は疲労困憊の体を動かして機体をゆっくりと浮かばせる。

 空中でバランスを調整してから結を治療するために[プラネシア]に向かおうと……

「マ、マスター……」

 声。

 凜華が声の出所を見る。

 一体の聖閃姫がふらふらよたよたと寄ってくる。

 ミューティだ。

 小さいため、近くに来るまでは見えなかったが。

「あ、忘れてた……」

「相も変わらず扱いが……」

 関節をゴキゴキと言わせながら言うミューティ。

 よく見るとその体には土が大量に付着している。

 先の事でいち早く地面に埋まっていたらしい。 

 関節から音が鳴っているのはその隙間に土が入って可動に干渉し、それを彼女が無理やり動かしているからであろう。

「私たちを忘れないでくださいよ……」

『うんうん』

「ああ、ごめん……」

「まぁいいですけど」

 そう言って凜華の髪の中に入るミューティ。

 凜華の耳は彼女の疲労度を表すかのようにペタンとしている。

「もう他に来ないよね?」

 そう言って凜華は周りを見る。

 今回関わったのはリジェネ、吹雪、プリズムハート、バハムート、そしてイアである。

 後者二人はともかく(プリズムハートは[ルシファー]によってどこかに投げ飛ばされたので彼女も除外しておく)残り二人、特にリジェネ。

「はぁ……家直さないと」

 彼女は尾ひれをゆっくりと動かしながら頭を抱えていた。

 そう言えば彼女の家はデザイアの影響で損害を被っていたのだった。

 それをどうするか悩んでいるようだ。

「……ん?」

 リジェネが凜華の視線に気づく。

「えっと…じゃぁ」

「ああ。うん、さようならね」

 こんな短い期間しか関わっていなかったのだ。

 自然とやり取りも簡素になってしまった。

「まぁ、また会ったら一緒に食事でもする?」

「あ……いや遠慮しとく」

 リジェネが食べていたスープの事を思い出す。

 味の好みはだいぶ違うというか、乖離している。

 一緒の料理を食べるのは無理かもしれない。

――いや、無理

「そう」

 簡素に応えるリジェネ。

 すぐに彼女は癒えの事について考えこみ始める。

 凜華は手の中の結を見る。

 彼女は息はしている。

「応急処置ぐらいならできますよ?」

「……え、あ、そういえば」

『エリは治癒魔術使えるよ』

 簡易的なものであるが。

 だから応急処置ぐらいと表現している。

 ミューティが凜華の髪の中から顔を出して両手を突き出す。

 小さな魔法陣が出現し、そこから小さな光があふれ出る。

 それが結のもとに集まり、収束してはじける。

 すると結の傷の一部が再生する。

 全部が治ったわけではないので気休め程度の物だが。

「これでもう少し持つんじゃないですか?」

「…そうだね。早く連れていこう」

 凜華は徐々に高度を上げる。

 疲労で体が重いが、ひとまず我慢する。

 今度こそ[プラネシア]に向かう。

 スラスターを操作し、夜の闇の中を飛ぶ。

「疲れるなぁ……」

 凜華は呟く。

 嫌ではないが、如何せんキツイ。

「そういえば、吹雪のこと忘れてた。でもほとんど何にも話さなかったな……」

 元いた湖あたりの方を、進みながら見る。

 暗くてよく見えなかった。


 吹雪は[ルシファー]に吹き飛ばされて以降地に落ちて、終始気絶しっぱなしだった。

「……あれ」

 ここにきてようやく目覚める彼女。

 機体は大破していた。

 けれど、体にはほとんど傷がなかった。

「終わってる?っていうか夜って」

 あっとばかりに口を開ける。

「出番終了……?これで?」

 呟く。


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