第一章[新たなる者たち]第二話
「ここが、選別を行う格納庫です」
ククルカンが、扉の前に立つ。
「では、入りますよ」
扉が、左右にスライドする。
自動ドアになっているようだ。
次々と隊員たちが、扉の奥に進んでいく。
結たちも、緊張しながら中に入る。
そして、入った先には、大きな格納庫が広がっていた。
十何mもある高い天井。
広大な面積。
そして、壁に並べられている、いくつものパッケージ。
「おおおおおぉ」
その存在感に圧迫され、固まっていると、
「よく来たなお前たち!私は、開発部の代表のクライシスだ!」
「我は、この方の助手兼、副代表のオルトロ、だ!」
突如として、とてつもない大声の自己紹介が聞こえてきた。
驚いて、皆が声の聞こえた方を見る。
声の主の一人は、露出多めの格好をした女性。
もう一人は、普通の作業着の男性。
「コホン。二人とも、静かに話すよう、あれほど言ったじゃないですか」
ククルカンが、その二人に注意を行う。
「すまんすまん、つい興奮しちまって」
「我らの努力の結晶が、目覚めの時を迎えるのが、な!」
「全く、別に初めてのことじゃないでしょうに……」
彼女が、ため息をつく。
「……」
いったいどういうことなのか。
よくわからず、隊員たちが戸惑っていると、彼女は、
「あっ、すみません。紹介しますね。まあ、さっき自分たちでやっていましたが……」
と言い、先程のでは分かりにくかっただろうと、紹介を始める。
「では改めて。彼女は、クライシス。ヴァルキュリアスの装備開発部の代表です。そして彼は、オルトロ。装備開発部の副代表です」
二人がこちら側を向いて、にっこりと笑う。
聞いての通り、開発部の代表と、副代表。
つまり、これから自分たちが使うことになるパッケージの開発陣筆頭ということになる。
「キャラ濃いな~」
凜華が、小声でつぶやく。
口には出さなかったが、他の者も、皆そう思った。
同時に、選別の時、この人たちに何させられるんだろう、という疑問と不安が生まれる。
と、
「ん?お前ら、これから何させられるんだろう、みたいな顔してんな。安心しな。別に変なことさせるわけじゃねぇ」
「それに、選別を行うのは、我ら開発部の者ではないから、な!」
「え?」
どうやら、別の人たちがやるらしい。
だったら、なんで出しゃばってきたのか。
「彼女らはこの後の誘導係です。私はこの後も、やらなければならない事があるので」
そういうことらしい。
「では、後のことは頼みますよ」
「おう!」
そんなやり取りをして、ククルカンはそそくさ格納庫から出て行った。
急な展開に取り残されている隊員たちに
「お前ら、行くぞ!こっちだ!」
クライシスが暑苦しい感じの声をかける。
その声に突き動かされ、隊員たちは、彼女の後ろについていく。
行先は、格納庫の奥らしい。
ちなみに、オルトロは隊員たちの後ろの方にくっつき、自分と同じ雰囲気を感じる者に、片っ端から声をかけていた。
「如何にか我慢できましたね……」
格納庫からでたククルカンが誰にも聞こえぬ声でたった一人呟いた。