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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第二十三話

「自己紹介二回目する?」

「またやるの?」

「さっきやったんですけど…」

 結、凜華、ミューティの三人が言う。

 その横で吹雪が背中をやってしまったリジェネを、

「デバイスは無事だ。じゃ、リアライズ!」

 機体を展開し、簡易的な治療器具を生成して治療している。

 こんなものも、データベースに組み込まれているのだ。

 本当に便利な機体である。

「う…」

 リジェネには展開を解除してもらって、背中を見せてもらっている。

「こうかな?作ったはいいけど、私専門外なのよねっと」

 機器を操作する吹雪。

「何か心配なんだけど…」

 リジェネがうめく。

 だが、その表情は先程より柔らかくなっている。

 治療器具のおかげで多少痛みが引いたようだ。

 そして、結たちの方。

「こんなところに誘拐してなんのつもりなの?」

「いや、違うんだけど…」

「もしかしてリリの翼目当て!?」

 警戒心を露わにして結たちを睨む聖翼種の少女。

 昔、聖翼種の翼は装飾品の材料として高値で取引されていたことがあった。

 彼女はその時代を知っているようだ。

 という事は、最低でも数百年は生きていることになる。

 聖翼種の寿命は、十二の種族の中でもかなり長いほうなのだから当然か。

 ちなみに、一番寿命の長い種族は精霊種である。

 星の管理者、四星種は除くが。

「もしそうなら、徹底抗戦!」

「……違うんだけどなぁ」

「あの…」

「怪しい!」

「いや、ホントに違うんだけど」

「話を聞いてくれませんか?」

「翼目当てでしょ?それで誘拐したんじゃないの?」

「いや、何回言わせるの。違うってば」

「本当に?」

「本当!」

「そろそろまともに話したいんだけど…」

「ふ~ん。けど、一応…」

 背の翼を勢いよく羽ばたかせ、聖翼種の少女が飛び上がる。

 その手に一つのデバイスを握り。

「誘拐犯一同には沈んでもらうよ!」

 そう言うとその手のデバイスを掲げる。

 それは、アーマード・パッケージの展開デバイスのようだが、光り輝いているのだ。

 そんなわけはないのだが。

「興奮しているようですね。あんまり話が通じていないっぽいですし」

「まぁ、確かにそうかも」

「リアライズ!」

「あ、展開する気だ」

 聖翼種の少女の手にあるデバイスが、その輝きを増す。

 そして、その光が彼女の体を包み込む。

「完全にやり合うつもり…」

「どうしてこうなったんですか…」

「っていうか、こっちは…」

 結が吹雪とリジェネの方を見る。

 まだ治療中のようだ。 

「こっちに被害が及ぶんじゃ…」

 聖翼種の少女がパッケージを展開して戦う気なら、結たちの近くの吹雪とリジェネは確実に巻き添えを食らう。

 そう思おって、不安がる結。

 だが、

「……きゃは☆!」

 そんな思考を裏切るような明るい声が宙から降り注ぐ。

「?」

「え?」

 そして、光が消えると、そこには、

「どうも!プリズムハートだよ☆」

 変身した聖翼種の少女、プリズムハートがいた。

「あ、最初の時の姿だ」

 それに吹雪が気付いて呟く。

「ええと、ここはどこかな?う~ん?あ、あそこの下か~。

「…急に性格変わった?」

「ん?そこの子達は誰かな~?」

「え、まぁ自己紹介はしてないけど…」

 宙で一回転するプリズムハート。

「あなたたちは?」

「えっと、結。人類種」

「…こんな急に自己紹介二回目するの?」

「私はミューティです」

「…私は凜華だけど」

「ふむふむ。結とミューティと凜華ね!」

「…なんかついて行きづらいテンション」

 翼を羽ばたかせ、また宙を一回転する。

「機体を展開してるってことは、準備は万端ってことだね!」

「え?何のこと?」

「まさか…」

 リジェネを治療しながら吹雪が言う。

「みんな、上のデザイア、倒しに行くよ~!」

「いきなり何!?」

 凜華が驚きを露わにする。

 急に何を言い出すのか。

 いや、デザイアを倒さなきゃいけないのは正しいのだが。

 ついさっきまではこっちの事を警戒していたのに、今度はこっちを誘っている。

 どうしたのか。

「それじゃ、いっくよ~!」

「ちょちょ、ちょっと…!」

「では、聞いてください。神技なる翼!」

 そう言うと彼女は、上に飛ぶ。

 と思いきや、歌いだす。

「え、何で歌?」

 一同が困惑する。

 今度は急に歌いだした。

 何がしたいのだ、彼女は。

「…あれ」

 吹雪の生成した危機によって治療を受けていたリジェネが不思議そうに声を出す。

 いまだ痛かった背中が急に、

「治った…」

「え?痛み引いたの?」

「ええ…」

 まだそれなりに痛かったのだが、それが急に引いた。

 一体どういう事なのか。

 そして、

「あれ、体が勝手に…!」

 突如、一同の体が勝手に浮遊し始める。

 特に何もしていないのに。

「え?え?」

 混乱する結。

「壊れぬ鎖!」

 プリズムハートが力強く歌う。

 それに呼応するかのように、一行の浮遊速度はどんどん上がっていく。

「どういうことですか!?」

 ミューティが目を白黒させる。

 その間にも彼女らの体は上へ上へ。

「…あ。これで家の仇がとれる!」

 ふと、リジェネが気付く。

 何故かはわからないが、背中は急に治ったし、これで地上に出れば、いるであろうデザイアと戦える。そうすれば家を壊してくれたことへの仕返しができる。好都合だ。

「よし!」

 そう考え、機体を展開し、戦闘態勢を整える。

 他の者たちも、上にデザイアがいるであろうことを思い出し、ちゃんと装備を展開する。

「…即戦うの?」

 結が呟く。

 それに歌いながらどうやって聞いたのかは分からないが、プリズムハートが頷く。

 いつの間にか彼女の体にはパッケージが展開されている。

 リアライズの声は聞こえなかったのだが、いつやったのか。

「…何なのよ」

 凜華が装甲を展開して格闘用ソードを取り出しながら言う。

 急展開すぎるのだ。

 本当に。


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