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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第十九話

「という事なんです」

短めの説明を終えるミューティ。

「へぇ」

 頷く凜華。

「けれど、そんな事より…」

 急に表情を暗くし、ぶつぶつと呟き始めるミューティ。

「どうしたの?」

「…何でもありませんよ」

 凜華の目の前を浮遊しながら、器用に体育座りをする。

「…あれ?」

 その時、凜華におぶられている結が目をゆっくりと開く。

「あ、結起きたんだ」

「う、うん。どれくらい気絶してたの…?」

「だいたい三分ぐらいだけど」

 結を下ろしながら答える凜華。

「っていうか、気絶二度目だよね…」

「そ、そうだね…」

 まさかこの短期間に二度も気絶する羽目になるとは、流石に思っていなかったのだ。

 いずれもすぐに復活できたのだが。

「大丈夫だった?」

 その様子を見ていたリジェネが声をかける。

「あ、うん。大丈夫」

 凜華に背から降りながら返事をする結。

 再び水に下半身を浸からせる。

「…あ、あっちの二人」

 一旦息を吐いて落ち着いたことで、少し離れた位置に浮かんでいた二人について思い出す。

 一体どうなっているのだろうか。

「凜華」

「ん、何?」

「あっちの二人の事なんだけど…」

 そう言って奥の方を指さす結。

「この二人?」

 いつの間にか、浮かぶ二人の所に接近していたリジェネ。

 彼女は手に持つ槍を、未だ展開していた機体背部の懸架アームに握らせ、開いた両手でその二人を持ち上げる。

 その二人は気を失ったままである。

「うん」

「どうするつもりなの?」

「えっと、取り合えず起こそう」

「分かったわ」

 そう答えて二人を結と凜華、そしてミューティの所に運ぼうと、ゆっくりと尾ひれを動かしながら進むリジェネ。

「で、どうやって起こすの?」

「う~ん」

 腕を組んで考える結。

―叩いて起こすのは…嫌だし

 そう思っていた時だった。

「ん?」

 リジェネが異常に気付く。

 その直後、彼女らを再び大きな揺れが襲う。

「何!?」

 凜華が警戒して声を上げる。

 そして、彼女らのいる位置の反対方向の壁が爆音を立てて崩れ去る。

 大きな砂煙が上がり、壁の破片が彼女らに飛来する。

「っつ!」

 それを察知したリジェネが、両手に掴んでいた二人を結と凜華に押し付けて前傾姿勢になり、先程背中に懸架した槍を引き抜く。

 彼女はそれを振り回す。

 槍は高速で回転させられ、彼女らに迫る破片を一つ残らず破壊していく。

 その動きはとても滑らかであり、まるで水の流れのようだ。

 そして、

「あれは…」

 リジェネの背後で聖翼種の少女を掴んで水に浮かぶ結が更なる異変に気付く。

 崩れた壁の奥に複数の蠢くものが存在する。

 煙が晴れて現れたそれは、無数のアームだった。

 それらは横に並んでゆっくりと彼女らの方に進み、更に壁を破壊していく。

 まるで迫りくる壁のようだ。

 見た目から分かる重厚感が、それらの存在感を引き立てている。

「どどど、どうする凜華…!?」

「いや、そんなの決まってるじゃん」

「何!?」

「逃げるの!」

「逃げ場何てないわよ!」

 リジェネが破片を全て処理してから叫ぶ。

「え?あ、確かにない…」

 彼女らが入ってきたのは空間下部の扉。

 そこに戻るためには、水中深くに多いで行かなければならない。

 しかし、気絶している謎の少女二人を引っ張ってそこまで泳ぐのには時間がかかる。

 いや、リジェネに手伝ってもらえば行けるだろうか。

「速い…!」

 アームによって形作られた壁の進むスピードはかなりのものだ。

 そこまで大きくないここでは、空きスペースなどすぐになくなる。

 つまり、このままここにいれば押しつぶされてしまう。

 けれど、潜って逃走する時間はなさそうだ。

「どうすれば…!」

 リジェネが額から汗を流す。

 その間にも壁は迫る。

「マスター、結さん」

 突如、ミューティが二人に話しかける。

「どうしたの!?」

「あの、これを」

 そう言って背負っていた二つのデバイスを差し出すミューティ。

「これ、私たちの?」

「デバイスじゃん」

 そう言って各々のデバイスを受け取る二人。

「この!」

 その前方でリジェネが槍を構える。

 しかし、この広範囲にわたる壁を破壊するのは、これでは無理だ。

 彼女の機体は格闘用で、広範囲の攻撃はできないのだ。

 けれど、

「私の機体は!」

 凜華がデバイスを掲げる。

「リアライズ!」

 彼女が起動コードを叫ぶ。

「リアライズ!」

 結もそれに続く。

 その声と同時に二人の体が光に包まれる。

 すぐに光が消え、アーマード・パッケージを纏った二人の姿が現れる。

 一応謎の少女二人の手はしっかりと握っている。

重奏砲[穿(うがち)]!」

 水面から少し浮遊しながら凜華が叫び、機体背部左側の狙撃武装を展開する。

 その装備は重奏砲[穿(うがち)]。

 ARPX-16[影華]に搭載されている試作型兵装である。

 花の蕾を模した装備で、射撃時には花弁にあたる部分が展開し、その中心にある砲塔が突き出てて来る。

 展開した花弁には圧力制御の術式が刻印されており、砲塔内部の圧力を操作、装填された

反属性魔力封入弾を高速で打ち出す。

 打ち出された弾丸は、攻撃対象に当たることで反属性魔力反応によって、広範囲を破壊する。

 反属性魔力反応砲をパッケージで使えるようにするための試作装備なのだ。

 その重奏砲[穿(うがち)]が迫る壁に向けられる。

「リジェネ、下がって!」

 それを見、ARPX-03改[ソードデバイス]を纏った結がリジェネに言う。

 その声を聴いた彼女は即座に水中にもぐる。

彼女等と壁との距離はもう3(メリ)程しかない。

「発射!」

 彼女の尾ひれが完全に水中に消えたところで、[穿(うがち)]から弾が迫りくる壁に向かって発射される。

 少し大きめの弾は一瞬で壁に到達、貫通する。

 その直後に弾は爆発。

 貫通してできた穴から、四方6(メリ)程度の大穴が開く。

 破壊された壁の下側は光の粒子となる。

 どうやらデザイアの一部だったらしい。

 そしてできた壁の空白を、結と凜華は少女たちの手を掴みながらパッケージのスラスターを全開にして通り抜け、脅威を回避する。

 水中に潜ったリジェネもその穴に自ら飛び出て通り抜ける。

 一応ミューティも脱出できた。

「ごぶ!?」

 勢い余って水に突っ込む一同。

 それから浮かび上がって、ゆっくり息を吐く。

「た、助かった~」

 




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