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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第十四話

……

 変異した新型デザイアが握りこめた手を下ろす。

 それと同時に周囲の地面が陥没を始める。

 新型デザイアと[ヴァリアント]のいる場所は除いて。


「…これは…」

「……」

 重力の強化によって地に落とされた二人。

 今なおその力によって地面に押し付けられている。

 パッケージが破壊されてしまった今、魔術による身体能力の強化で抗うぐらいしか術がない。

 だが、この術式で得られる力はたかが知れている。

 この系統の術式は、骨や筋肉の強度を向上させるだけで、基礎体力の限界は突破できない。

 だから先程機体を破壊されたとき、そのまま落下せざる負えなかったのだ。

「う……」

 さらに重力が強化され、彼女らの体が陥没していく。

 重力が全身を締め付け、体をきしませていく。

「だ、大丈夫…?」

 隊員が、姿が変わったプリズムハートの方を向いて苦しげな声で問う。

が、彼女は気絶してしまっていて、反応がない。

その時、

!!

[ヴァリアント]の胴から複数のアームが飛び出し、陥没する周囲の地面に突き刺さる。

「…な…!?」

 隊員がそれを見、苦しげに声を漏らす。

その飛び出すアームの先端は鋭くとがっており、直撃したらひとたまりもないだろう。

 だが幸い、それらは二人の所には来なかった。

 そしてすべてのアームが地に突き刺さり、完全な円形を形作る。

 その直後、

「…わっ!?何!?」

 急に重力が元に戻る。

 一瞬安心するが、それをあざ笑うかのように次の災難が彼女らに襲い掛かる。

「え、え!?」

ドームの中心の湖を除き、周囲の地面が崩れ落ちていく。

地下に空洞でもあるかのように。

もしそうなのだとしたら、先ほどまでの重力の強化によって大きな力がかかり、地面が崩れてしまったのだろう。

そして二人のいる場所もまた、崩れ落ちる。

プリズムハートは聖翼種であるため、彼女が気絶していなかったのなら、この崩落から逃げることもできたのだろうが。

「え、私飛べないんだけど~!?」

 そんな声もむなしく、二人は崩れた地面の下の空間に飲み込まれていく。

 隊員の如何にかしようという気持ちが、両腕を大きく動かすことであらわされている。

 勿論彼女の腕は翼ではないので、何の意味もないが。

「ちょ~!?」

 そして彼女らは落ちていく。

 その時、新型デザイアが彼女の方を向き、その目を光らせた。


 先程から揺れ続ける彼女の家。

 そして揺れは徐々に大きくなってきている。

「こんなに揺れるものかしら」

 スープを食べ続けながら、リジェネが首をかしげる。

 上のデザイアが暴れているにしても、随分と衝撃が強いと思ったのだ。

 いろいろと振動への対策がなされているこの家がここまで揺れるとは。

 それなりの事が起こっているのか。

「あの、どうする?」

 廊下に座り込む結が、手を上げて彼女に質問する。

 彼女の後頭部には大きなたんこぶが。

 さっき壁に頭をぶつけたせいだ。

「取り合えず…はむ。見に行って…はむ。みるわ」

 口にスープを含みながらしゃべるリジェネ。

 高速で残りのスープをのどに流し込む。

 ふうと息を吐き、「ごちそうさま」と言って皿を置く。

「戦闘でもしてるのかな?」

 凜華が顎に手を当てて言う。

 戦いでも行われているのなら、この連続する衝撃が起きている理由が説明できると思ったのだ。

「水面で戦闘していても、ここはここまで揺れないはずなのよね。いろいろ地震対策はしてきたし。衝撃を軽減できるように、術式も設置しておいたし。周りの地面が崩れて瓦礫が直接振ってきてるのかしら?」

 そう言うと彼女は立ち上がり、皿を流しに置いて部屋を出る。

その時、入り口に置かれていた槍を手に取る。

「あなた達はここにいて。パッケージのデバイスがないのなら万が一何かあったら危ないし」

「いや、私たちそんなに弱くないから。心配してくれるのは嬉しいけど、必要ないよ」

 そうリジェネの言葉に返す凜華。

彼女にはいざとなれば幻獣化があるのだ。

デザイアを相手取るのは無理だけども。

「う、うん」

 それに頷く結。

 彼女には剣の技と例の光がある。

 まぁ、後者については突発的に出るため、自分の思い通りに使うなど無理だが。

「そう?じゃ、ついてきて」

 軽く対応し、廊下を歩き始めるリジェネ。

 その足取りは速い。

 平然としてはいるが、何処か焦っているよう。

「あ、待って!」

 急いで後を追う二人。

 だが、

「う…」

「あれ臭い…」

 リジェネの体から先程のスープの臭いが漂ってくる。

 かなり臭いの強いものだったのだ。

 彼女の服にその臭いが付着していても不思議ではない。

 そして、その臭いは勿論二人に耐えられるものではない。

「少し、距離を離そう…」

「う、うん」

 そう同意し、少しリジェネと距離をとって後を追う二人。








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