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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第六話

「ようやくついた~」

 すでに疲れた顔で、結が呟く。

「そうだね」

 凜華が頷く。

 その後、移動に使ったパッケージを展開解除する。

 結と凜華、それにミューティの三人は、[プラネシア]から離れたとある湖につく。

 森の中にあるこの湖はそこそこの面積があり、水も澄んでいる。

 今は少し熱く、水遊びにぴったりの季節だ。

 本当は海がよかったのだが、そこは最前線になるし、海以外の場所でも水遊びだけなら問題ない。

 相談の結果、この湖に決まったのだ。

 少し遠いが、遊べる場所がここぐらいしかなかったことも関係している。

「皆さん、羽目を外し過ぎないように…」

 ミューティが注意を行う。

「もちろん。分かってるよ」

 一応、軍属(?)なので。

 ヴァルキュリアスが軍なのかと言ったら、少し微妙なところな所があるのだが。

 隊長、司令などしか階級のようなものがなく、これといった規則もない。

 組織の重鎮たち、円卓会議の者たちがそういう事をあまり好まなかったため、そうなったのだ。

 まぁ、作戦などは普通に軍っぽく動くので、軍といえば軍か。

「さて」

 凜華が持ってきた荷物を、湖の外周の地面に下ろす。

 中身は今日の昼食だ。

 後は、パッケージのデバイスも置いていく。

 非常時のため、これは個人管理になっているのだ。

 そのため、こうして移動に使ったのだ。

 一応、兵器に分類されるものをこんな風に使うのは推奨されることでもないのだが、ヴァルキュリアスは、そこんところ緩いため。

「よいしょ」

 凜華が荷物を置き、

「さ、泳ご!」

 上に羽織っていたパーカーを脱ぎ、あらかじめ着てきた水着のみになる。

「私も」

 結も水着姿になる。

 凜華のものはフリルの着いた可愛らしいもの。

 一方結は、昔使っていたスクール水着。

 探したところ、家には可愛いデザインの水着がなかったのだ。

 この二年間、ヴァルキュリアスに入るための鍛練に忙しく、そんなものを買う暇がなかったのだ。

「結、そんなんでいいの?あんまりかわいくないけど」

「まぁ、これしかね」

「ふ~ん。一部の人たちには受けそうな感じだね。需要ありかな」

「へ?どういうこと?」

 凜華の変な発言に首をかしげる。

 ―需要って…

「ま、それはいいとして、泳ご」

「あ、うん」

 凜華に手を引かれ、湖の水に足から浸かる結。 

 足に透き通った水が触れる。

「ひゃ、冷たい」

思ったよりも水は冷えていて、驚く結。

これなら全身浸かったら、さぞ気持よいだろう。

ゆっくりと足を沈めていく。

「あ、準備体操忘れてた」

「え?あ、確かに…」

 水に入る前には、準備体操をしておかなければ。

 そんな大事なことを忘れていたとは。

 休みで気が抜けているから、なのか?

「1、2。1、2」

 体を伸ばし、体操をする二人。

 飛び跳ね、胴を大きく動かし、腕を伸ばす。

 ちなみに水に入る際、体操を行うのは、体を温め、血のめぐりをよくすることで、魔力の通りを良くし、生命力を強くするためだ。

「よし、これで今度こそ入る準備ができた!」

「それじゃ、改めて」

 そう言って湖に入っていく二人。

「ふぅ、気持良い…」

「そうだね~」

 少し体を温めてから冷たい水に浸かると、より一層気持ちよくなる。

 水に浸かりながら、しばらくその感覚を楽しむ。

「本格的に泳ごっと」

 そう言うと凜華は幻獣化し、強化された体で思いっ切り湖を泳ぎ始める。

 とんでもない速さで。

「むふっ!?」

 凜華の高速泳ぎのせいで、結のもとにかなりの量の水が飛んでくる。

 速く泳いでいるという事は、それだけ速く足を動かしているということ。

 だからこれだけの水が飛んでくるのだ。

「ちょっと~、凜華~」

「ん?」

 周りを動き回る凜華が、どうしたんだという顔で結の方を向く。

 かなり水が飛んでいるのに、原因の彼女は気づいていないらしい。

「もう。それ!」

 動き回る凜華の姿をとらえ、即座に水をかける。

「あ、ぷふ」

 凜華が水を掛けられて声を出す。

 見事に命中だ。

「やったな~」

「そっちが先だけどね」

「?とにかく、くらえ~!」

 一瞬首を傾げた後、凜華は泳ぐ速度を上げ、進む間に両手で作った水鉄砲で水をかけるという芸当を披露する。

 それの回避し、反撃を試みる結。

 その若干高度なやり取りが、しばらくの間続く。

 

「出番が最後…いや、一度台詞はありましたけど」

 荷物の上に、ちょこんと座るミューティ。

 現在、体はエリュシュオンの物だ。

 凜華の兄にいじくりまわされた結果、なぜか彼女は意識が飛んでしまったらしい。

 いったい何をされたのか…

 あの人の事だ。多分とんでもないことを…

 少し気になるが、聞かない方がいいかもしれない。

 意識が飛んでしまったくらいなのだから。

 体の見た目は、あまり変わっていないように見えるのだが、どこを改造したのだろうか?

 まぁ、ひとまずそれについては置いておく。

「ところで…」

 それから、エリュシュオンの意識がない間に憑依させてもらったが、ふとある変化に気付いたのだ。

『ん?どうしたの?』

 何故かエリュシュオンの意識が、ミューティが憑依しているときでも覚醒しているようになったのだ。

 まるで二重人格のような状態なのである。

「なんで起きていられるようになったんですか?」

『さぁ。エリにも分かんない』

 本人にも分からないらしい。

 ほんとに何をしたのだ。

 あの人は。

 魔術を使って、内部構造や体の状態を維持する術式に、何かテコ入れでもしたのか。

 わかるのは本人のみだ。


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