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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第三章[休みとトラブルの一週間]
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第三章[休みとトラブルの一週間]第四話

「う~ん…あれ、まだ明るい?」

 目を覚ます結。

 光遮断の術式の効果が切れたのか、窓から光が差し込んでいる。

 背伸びをして起き上がり、壁の魔導時間示機(ようは時計)を見る。

「ええと、朝の七時?まだそんな時間か~」

 ならまだ寝れると思い、再び寝転がって布団をかぶり、目を閉じる。

「……ん?七時?」

 疑問が浮かぶ。

 今の時期は、夜の七時はこんなに明るくない。

 光遮断の術式の効力は半日。

 それが切れている。

 そして、自分が寝たのは午前の十一時。

 そこから考えると……

「私、丸一日近く寝てた!?」

 それに気づき、ばっ!っと起き上がる。

「はわわわ…確かに日付けが変わってる…」

魔導時間示機の日付の表示部分を確認すると、日付は一つ進んでいた。

 いくら疲れたといっても、寝過ぎだと自分を叱り、急いで布団をたたんでしまい、浴衣を脱いで、いつもの着物に着替える。

 部屋を出て階段を下り、リビングに向かうおうとする。

「っと、その前に」

 廊下の途中にある部屋に入り、顔を洗う。

 自分が水属性の術式が使えたら、こんな事をしなくてもいいのだが、その属性の適性は持っていないので仕方ない。

「お母さん、おはよう!」

 リビングに行き、母に挨拶をする。

「あら、おはよう」

 食器を並べていた母が、結の方を見て返事をする。

 彼女はすでに起き、朝ごはんを作っていたようだ。

「一日近くぶりね」

「あはは…流石に寝過ぎだよね」

 額をかく。

「ま、それはいいわよ。だいぶ疲れていたようだし。朝ごはんにしましょ」 

 そのことは深く突っ込まず、母が提案する。

「は~い」

 母の言葉に従い、リビングに置かれた食卓に向かう。

「あ、マヨネーズとってくれる?」

「あ、うん」

 その前に、棚にマヨネーズをとりに行く。

「これだよね?」

 容器を持って、確認をとる。

「そうそう、やっぱりこれがないと」

マヨネーズの容器を手渡す。

 それを受け取り、嬉しそうに笑う母。

 彼女は大のマヨネーズ好きで、何にでもマヨネーズをかけようとする。

 要はマヨラー。

 但し、かけ過ぎないように、結が普段は見張っている。

「「いただきま~す」」

 手を合わせて食事を始める二人。

 食卓に並ぶのは、たくさんの豪華な料理。いずれも味付けが濃く、力が付きそうなものだ。

 唐揚げなど、ふつう朝からこんな油っこいものは食べないのだが。

「一日近く寝たんだもの。これぐらいはないと」

 そう言って、自分のご飯にマヨネーズを掛ける母。

「ええ…」

「結はマヨネーズいる?」

「あ、いや、いいよ」

 断っておく結。嫌いなわけではないのだが。

「あら、そう」

 朝から途轍もなく味の濃いものを食べる二人。

 黙々と。

 それから少しして、

「あ、師匠まだなの?」

 ふと思い出し、母に尋ねる結。

「ええ。どれだけやってるのかしら…」

「そういえば、これと似たようなやり取り、前もやったし…」

 そんな会話をした後、再び黙々と食べ始める結たち。

 一日中寝たので途轍もなく空腹だ。

 とにかく栄養を。

 そう思って食べ続ける結。

 普段の数倍は。

 ところでさっきから、母も結と同じ速度、同じ量を食べているのだが。

「もぐもぐ……」

 …一体その体のどこに、これだけの量を収める空間があるのだろうか。

 彼女は背が群を向いて高いわけでも、低いわけでもない。

 腹回りも引き締まっている。

 しかし、この食べっぷりは……

 結も人の事はいえないが。


「ふぅ、美味しかった~」

 食卓にあった料理は、実は六人分ほどの量があったのだが、二人だけで完食されてしまった。

「お腹いっぱいね~」

 自身の腹をさする母。

 しかし、これほどの量を食べたのに腹があまり膨らんでいないように見えるのは気のせいだろうか。

「じゃ、片付けよっか」

「そうだね」

 少し休んでから、椅子から立ち上がる結人彼女の母。

「結はこっちの皿運んでね」

「分かった。今やるね」

 母の指示に従って皿を台所に持っていく結。

 順調に食器は運ばれていき、台所に積まれていく。

 そうこうしてるうちに食卓から食器がなくなる。 

「これにて完了。後は洗浄するだけね」

 そう言って台所の前に立つ母。

「もういいわ。行っていいわよ」

「分かった。じゃ」

 台所を抜け、リビングを通って廊下に出る結。

 それを見届けた後、

「さて。張り切って作ったせいで、こんなに出ちゃったけど、まぁいけるでしょう!」

 そう呟き、両手に魔力を収束させ、魔術の行使の準備をする。

「よし、集まった!それじゃ、ホーリーアクア!」

 その言葉とともに彼女の両手に魔法陣が出現する。

 そこから白い光が出て、更に透き通るような青の水が出てくる。

「っとと」

 それを栓を占めた流しに放り込む。

 この水は聖属性、浄化能力を持った水だ。

 これに食器を入れれば、汚れを取ってくれ、そのとれた汚れを消滅させてくれる。

 この術式が使えると、相当便利だ。

「それそれ!」

 次々と食器を浄化水(いわゆる聖水)に放り込む結の母。 

 後は、放っておけば勝手にきれいになってくれる。

 そしたら、水分をとって棚にしまえば片付け完了だ。


「あれ、連絡?」

 部屋に戻ったところで、固定式の通信術式(要は電話)に連絡がきていることに気付く結。

 式のもとへ近づき、回線を開く。

「誰ですか?」

『私だよ!結!」

「あぁ、凜華ね」

 連絡してきたのは、凜華だったようだ。

 そう言えば、また明日連絡するとか言ってたね…

 そんなことを考えながら、

「で、どうしたの?」

 要件を聞く結。

『折角の休暇なんだし、どっか行かない?』

 どうやら遊びの誘いらしい。

 まぁ、特にやることもない。

 断る理由もないだろう。

「いってもいいよ。こんな情勢で行くのもどうかしてる気もするけど…」

 少し気にしていることも口にするが、

『まぁまぁ。私たち、ちゃんと戦ったうえで休み貰ってるんだし』

 あっさりとした答えが返ってくる。

「それもそうだよね」

 別に責められもしないだろう。

「なら、行先決めないと。どこにする?」

『そうだね……』







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