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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第二章[人機再起動]
24/91

幕間

「お帰り、ルビリント」

 ククルカンがルビリントに声をかける。

「ただいまです」

 彼女らがいるのは、例の円卓がある空間。

 前回と違うのは、人数が六名から十三名に増えていることだ。

「ところで、アメヴィス…」

 眼鏡の魔人種の少女に問いかけるルビリント。

「何、ちょっとしたいたずらじゃよ。お主ならあのぐらいの高さ、落ちても死なんじゃろ?」

「まぁ、これでも宝玉種の始祖の一人だから。でも…」

「すまん、すまん」

「本当に反省してるの…?」

 ルビリントが疑わしい目で、アメヴィスを見つめる。

「あなたたち、そういうのは後にして。今日は、これからの方針に関する会議なのだから」

 前回はいなかった少女が二名に注意する。

「す、すみません」

「おお、すまんな」

「全く…」

 額に手を当て、あきれる少女。

「まぁ、改めて。円卓会議を始めましょう」

 ククルカンが手をたたく。

「そうですね」

 水妖種の女性が頷く。

「はい」

 ルビリントが席に座る。

「今度はないよね?」

「流石に二度はやらぬよ」

「今言われたばかりでしょう?」

 水妖種の女性があきれた声で言う。

 そして、総勢十三の会議が始まる。


「これが今回確認されたデザイアよ」

 そう言って、ククルカンが円卓の中心にデータを投影する。

 表示されたのは、四種類の新型デザイアのデータ。

「一度に四種、か」

 甲蟲種の男が呟く。

「いづれにしてもこれまでの物より強力です。まずはこれです」

 ククルカンが一体のデザイアの画像を表示する。する。

 黒い人型ロボットの様な見た目、四肢と背中に取り付けられた大きな砲。

 頭部の赤く光る一つ目。

「大陸南部の複数の海岸線の基地で存在が確認されたタイプです。見た目通り砲撃型。その砲撃はとても強力です。どうにか撃破に成功したようですが、なかなか厄介なものだったとのこと」

 ククルカンが各基地から上がってきた情報をもとに説明を行う。

 その最中、一名が、

「ふ~ん。じゃぁこいつは、重砲撃型[ブローニクス]だな」

 そう言って、幻竜種の幼女(見た目は)が、良い名前が付けれたと喜ぶ。

「バハムート、識別名は確かに必要だけど、今は説明中。後にして」

 幻竜種の幼女もといバハムートを、先ほどルビリントとアメヴィスを注意したローブ姿の少女が注意する。

 右手に本を、左手に水晶玉を持ち、纏うそのローブは彼女に身長に対してかなり大きく、袖が余っている。

「いいじゃねぇかよ。な、星歴の司書様?」

 バハムートが少女の方に椅子を向けて言う。

「その呼び方は止めてって前言った」

 不満げに頬を膨らませる少女。

 その長い髪が、彼女の機嫌を現すかのように持ち上がる。

「あはは!そうだっけ?」

 笑うバハムート。

「名前か種族名で呼んで」

「ほいほい」

「この…」

「まぁまぁ、いいではありませんか」

 肩に手を置き、ローブの少女を宥めるククルカン。

「ククルカン…」

「では。次のデザイアはこれです」

 ローブの少女の呟きをスルーし、説明を続行するククルカン。

 その次に表示されたのは、魚の頭の形に近い形状の胴、そこから左右に伸びる四つの翼、その先端のカプセル型の何かを持ったデザイアの画像。

「このデザイアは北方の海岸線の基地周辺にて確認されたデザイアで……」

 そのデザイアの説明の後も、残り二体のデザイアについて得られた情報を他の者にはなすククルカン。

 その間も、

「こいつは遊撃型[ディーヴァ]だな」

「このデザイアは要塞型[インパクター]に決めた」

 忘れず、しっかりとデザイアに名前を付けるバハムート。

 それに口出しするものはもういなかった。

 そもそも元は、全員その行為に同調している。

 ローブの少女が口出ししたのは、言うタイミングが気に食わなかったからだ。(細かい…)

 そして、

「新型デザイアに関する説明は以上です。では本題に移りましょう」

 いよいよこの会議の本題に入る。随分と長かったが、一応さっきの物は前置きだ。

「さて、私たちのこれからの行動の方針、ね」

 聖翼種の女性が顎に手を当てて呟く。

『ああ、慎重に審議せねばなるまい』

 円卓の一角に座っている(?)黄金の光が、男とも女とも取れる声で言う。

 ここで、今後の方針を決めなければならない。

 全員が真剣な顔つきになる。数名、顔がないか表情が変えられず、そのままの者もいるが。


「それで、相変わらず”視る”ことはできないの?」

 ローブの少女に話しかける聖翼種の女性。

「うん」

 こくりと頷くローブの少女。

「四大陸は覗くことができない。前と同じ」

「じゃぁ、記録も?」

 水妖種の女性が彼女に聞く。

「いつまで待っても、大図書館(アーカイブ)に情報は記録されない。この大陸のことは記録されているのに。これも変わらず」

「そう……」

 ため息をつく一同。

 残念ながら彼女の能力には期待できなさそうだ。

「まぁ、四大陸の海岸部までなら見えるから、試しに今の状況を“視て”みてもいい」

「そうなの?じゃぁ今、“視て”もらう?」

 他の者を見まわす聖翼種の女性。

 全員が頷く。

 賛成のようだ。

「じゃぁ、お願い。イア」

「分かったよ」

 返事をし、“視る”準備を行うローブ姿の少女もといイア。

「我は星の記録者。星の生まれ出る時より、その歴史を刻む者。星の守護、解放のため、その力の開放を要求する」

 イアの右手にある本がひとりでに浮かび上がり、左手の水晶玉が眩い光を放つ。

「星を見通す“目”よ。我に星の現在を見せよ。今を!今を!」

 その声と同時に、空間が水晶玉からの光で満ち溢れる。

「これは何度見ても、美しいですね」

 ククルカンが呟く。

「そうだな」

 それにバハムートが同意する。

 その姿は神々しく、思わず椅子から下りて、膝をついてしまいたくなるほどだった。

「…」

 空間の魔力がイアのもとに集まっていく。

 そして、

「見せよ!」

 イアの目の色が青から金に変わる。

 その後、すぐに光が収まり、彼女の目も元の色に戻る。

「ふぅ」

 ため息をつくイア。

「何か見えたか」

「特にこれといったものは。デザイアが相変わらずたくさんいるのは見えた」

「それだけ?他には?」

「ない。けど相変わらず、危険であろうことには変わりない」

 頷くイア。

「残念。まぁそれはいいとして。話を続けましょう」

 水妖種の女性が言う。


 幾つもの赤い光が蠢く。

 それらはすでに大陸にたどり着いていた。

 その隠密能力を生かし、基地の監視網を潜り抜けるそれら。

 それぞれが目的のため、散っていく。

 





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