表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第二章[人機再起動]
20/91

第二章[人機再起動]第十一話

「くうっ!」

 二つ目の障壁が破られる。

 続いて最後の障壁が破られ、

「……くっ!」

 結がそう思った時、

「はっ……」

 体から突如、光があふれる。

 その光は一瞬のうちに大盾を形成し、その攻撃を防いだ。

「これって……」

 二年前、あの時出たものと同じ……

 大盾が光となって消え去る。

 なぜ急に出たのか。結には分からなかった。

「どうして、あれを防いだの。私たちをかばうように」

 機巧種の少女が呟く。 

 何故なのか。敵に与するものが、それを殲滅しようとする自分たちを。分からない。分からない。分からない。彼女等にはただ、それが分からなかった。

 今かばったところで、何もメリットなどないだろうに。

「えと、それは…なんとなく?」

「なんとなく?」

 曖昧な回答に少女は聞き返す。

「守りたいって思ったの。とっさに。自分でも詳しいことはよくわかんないけど」

「どうして。敵なのに……敵なのに、あの獣たちに与してるのに…」

 心底分からないといった表情。 

「敵も何もないよ!そもそも大戦は500年前に終わったし」

「え?」

 ポカーン。そんな音が聞こえてきそうな表情をする機巧種たち。

「え?」

 何か変なことを言っただろうか。

 そう思っていると、

「あの、今のもう一度……」

 もう一度行ってくれと頼み込んでくる。

「え?前半?後半?」

 どっちの話なのか聞いておく。

「後半」

「そもそも大戦は500年前に終わった…」

「そんな、終わった!?」

 再度その言葉を聞き、信じられないといった顔で機巧種の少女は呟く。

 ちょっとわざとらしい感じがする。

「う、うん。終わったけど…」

「それじゃあ、私たちが多種族を殺すことに、意味はないってことに……」

 がっくりと膝をつく少女。

「これからどうしよう……」

 ブツブツと言い始める機巧種たち。

 先程は信じられないとか言っていたのに、今度はあっさり信用した。いったい何なのだろうか。

「えと……」

 結が頬を掻く。

「この!」

 一方上空では戦いが続いていた。

 結たちがそんなやり取りをしている間も。

 だがやはり、攻め切れていない。

 デザイアの再生力に阻まれているのだ。

「じゃぁ、協力する…」

 機巧種の少女が申し出てくる。

「いいの?」

「ほんとに大戦が終わってるなら殲滅に意味はない。私たちの役割は、“大戦を終わらせるために”多種族を殺すことだから。よく見れば、あの頃と空の色は違うし、憎しみを感じない……」

 小声でつぶやき続けるシユ。

 さっきから彼女は幾度となく態度を変えている。

 情緒不安定とでもいうべきだろうか。

「うん。それじゃあれを倒すのを手伝ってほしいの」

「分かった。じゃあみんな…」

「あ、名前聞いてなかった。なんていうの?」

 ふと思い出したことを言う。

「ん?シユ、だよ」

 あっさりと答えてくれる。

「シユだね」

「みんな、構えて」

 すぐにシユが、他の機巧種に呼びかける。

 それに応えて、機巧種たちが各々の武装を上空のデザイアに構える。

 どうやら彼女がリーダー的存在らしい。

「あ、そうだ」

 結は機体の通信機能を使用する。

「凜華」

「結?無事だったの?」

 凜華の安堵が伝わってくる。

 戦っていたせいで結の安否を確認する余裕がなかったのだろう。

「あのちょっと伝えたいことが」

「戦闘中だから手短にお願い」

「うん。えっと、今からこの子たちが攻撃するっぽいから、当たらないように離れてほしいの。他の人たちにも伝えて」

「どういうこと?」

 凜華がこちらを見降ろす。

 彼女に手を振る。

「え、説得できたの?」

 凜華はそのことに驚きつつも、言われたとおりに他の者に伝える。

「シユ、ちょっと待って。みんなが離れるまで」

 彼女に、味方に攻撃が当たらぬよう、逃げる時間を設けたいことを伝えるが、、

「もう無理だけど」

 そんな回答が返ってくる。

「へ?」

「すでにエネルギーはチャージ済みだし、速く撃たないと砲塔が潰れちゃうよ」

「ちょ、待って…」

 しかし、彼女らは待ってくれなかった。

「みんな、発射」

 シユの声とともに、機巧種全員が砲撃を行う。

 その色は緑。

「逃げて~!!」

 多数のビームがデザイアと、その付近にいる者たちに接近する。

 基地の者たちは容易く回避する。

 ヴィーヴィルと日花里もだ。

 しかし、

「のわっ、なんだよこれ!お!?」

「ちょっと、速いよ!こんなすぐ来るなんて聞いてない!」

 フレースと凜華は如何にか避けようと頑張っている。

 かすっているような気もするが

「ちょ、シユ!」

「あれを倒すんでしょ…?」

「いやそうだけど…あ」

 デザイアの方をよく見ると、各部が大ダメージを受けている。

 今もなお砲撃は続く。

 撃破を阻んだ再生力は、破壊のスピードが速すぎて、もはや意味をなしていない。

「すごい…」

 そして、あるものがその顔をのぞかせる。

「あれは!」

 大破した巨体の中心から、球型の物体が見える。

 あれこそがこのデザイアのコアだ。

 あれを潰せば、デザイアは消滅する。

「シユ!あの球を撃って!」

「どれ?」

「あれ!」

「う~ん?」

 そんなやり取りをしていると、

「ええい、この!」

 声が聞こえる。

 現在攻撃回避中の凜華の声である。

「コア!?なら…」

 凜華が飛び上がり、機体の砲をコアに向ける。

「いけ!」

 砲塔から、弾丸が目にも止まらぬ速さで射出される。

 あやるかに見えたが結果は外れだった。

「外れた!?くう!」

 残った砲台から反撃を受け、後退を余儀なくされる凜華。

「結!手伝って!」

「え、うん。分かった!」

 結は機体のスラスターを使って飛び上がり、背中の装甲に懸架された大剣を手に持つ。

 アームドユニットを伸ばし、一気に加速。

「それぇぇぇぇぇ!!!」

 大剣を正面に持って飛び、コアを目指す。

 かなり大胆な方法だが、これなら……

「ちょ……!?」

 結は驚く凜華の真横を通り過ぎ、コアに接近する。

 近くの残存砲台が攻撃してくるが、アームドユニットで防御する。

 そして、コアのもとに……!

「それ!」

 コアが大剣に貫かれる。

「やった!」

 コアがひび割れ、崩壊する。

 それと同時に、デザイアから断末魔の叫び声のようなものが上がる。

 キュゴオォォォォンン!?!?!?

 そして、デザイアの体は光りの粒子となり、消滅した。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ