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アポカリプス・デザイア  作者: 結芽月
第二章[人機再起動]
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第二章[人機再起動]第二話

「あの、パールさん」

「は、はい!」

「そんなかしこまらなくても」

 ミューティは現在憑依している機体、STPA-05[シルフィード]の腕を動かし、パールの機体に触れる。

「あなたはどうしてヴァルキュリアスに?」

「え、えっとそれは……」

「焦らなくていいですよ」

「あ、はい」

 [λ]からゆっくりとパールの声がミューティのもとに聞こえてくる。

「私は……」


「これが崩星大戦の遺跡、第37号[レキアラ]」

 結が小さなテラスから身を乗り出す。

 先程ヴィーヴィルたちが入っていった入り口の奥。

 そこにある崩れた大扉をくぐり、その下の階段を下りた先にその遺跡の本体はあった。

 底の見えない巨大な空洞。

 端の見えないほどの面積。

 それこそ巨大なロボットでも鎮座していそうだ。

 外の見た目からは想像できないほどの広さ。

 幾重にも枝分かれする通路がその広大な空間のいたるところにかけられていた。

 ほとんどが宙に。

 通路の先には天井のない部屋など、様々なものが存在した。

 下を見ると、吸い込まれそうな深淵が広がっていた。

 広大なその空間は青く発光しているようであった。

「行くぞ」

 そう言って背の翼を広げ、ヴィーヴィルが飛び込む。

「じゃ、行こっか」

 日花里がパッケージのスラスターを吹かす。

 彼女もそこに飛び込んでいく。

「結、行こ」

「うん」

 結が凜華に返事をし、パッケージを纏って機体のスラスターを吹かし、その空間に飛び込む。

 五人は出力を調整しながらゆっくりと降りていく。 

「にしてもかっけーな。なんかくすぐられるな。500年前の物にしても結構綺麗だし」

 フレースが降化しながら周りを見て言う。

「ちょこちょこ整備の人が来ていたらしいよ。なんでも放置しておくと、崩落とかしたときに、何か危険な兵器が起動する可能性があるので、それを防ぐためとかなんとか」

 日花里が答える。

「へぇ」

 そんな受け答えをしながら降りていく一行。

 今回の任務、正確にはこれまでの調査で回収しきれなかった物の輸送とのことだ。

 それでもかなりの量があり、それらを運ぶためにはかなりの人手がいるらしい。

 しかし、この部隊にはヴィーヴィルがいる。

 ようは竜化して運んでもらうのだ。

 パールの機体やストライク・パッケージに憑依しているミューティにも手伝ってもらうが、大半は彼の担当となる。

 他の四人は体格的にも、パッケージのサイズ的にもあまり大きな荷物は持てない。

 だから、彼の負担は大きい。

 彼が早く行ったのは、そういう事情で不機嫌だったからだろう。

「そろそろ、物資集積場じゃない?」

「あ、そうだね」

 機体のマップ機能を開く。

 確かに物資集積場に近づいていた。

 各々の機体にはこの遺跡の地図がインプットされている。

 パールとミューティ以外の四人は、出撃前にデバイスにデータを挿入しておいてもらったのだ。

「そこに運ぶ荷物があるんだよね?」

「うん」

 物資集積場は、その名の通り物資が集められている場所だ。

 遺跡の上層の中で一番広く、かつ位置がちょうどよい空間がそれに選ばれた。

「フッ」

 その場所を見つけ、ヴィーヴィルがそこに華麗に着地する。

 そこは、青い正六角形のスペースだった。

 そこに山のように物資が積まれている。

「お前ら、早く来い」

「はいはい」

 他の四人もそこに着地する。

 そして作業が開始された。

 四人がそれぞれ荷物を持って遺跡の外まで物資を運び、大きな物は二人以上で運んだ。

 まぁ、パッケージの力があったので、そんなに時間はかからなかった。

 作業開始から30分。

「後はこれだけだな」

 フレースが言う。

 集積場には四人とも集まっていた。

 最後の物資は、大型の砲塔。

 相当なサイズだ。

 来た階段はかなりのスペースがあるし、何とか通るだろうとは思うのだが。

「これ、五人がかりでも持てるのか?」

「さぁ、タクティカル・パッケージに乗せるような代物だよね、これ」

「きつい気がするんだけど」

「何とかしよう」

「やるならさっさとやるぞ」

 そんなにやり取りをした後、五人で各部を握って持ち上げようとする。

 しかしそれはなかなか持ち上がらない。

「はぁ。なかなか上がらないね」

「う~ん」

 全員が考え込む。

「おい、俺様が部分的に竜化をして、持ち上げるってのはどうだ。こんなこと早く終わらせてぇんだ」

 ヴィーヴィルが言う。

「いや、それだと通らないんじゃ……」

「だから部分的って言ってんだろ!」

「ちょっと落ち着いて」

「まぁ、それでいいんじゃね?」

「ふん。いいからやらせろ」

 最終的にヴィーヴィルが一人でやることになった。

「危なくなったら支えるからね」

「うっせぇ!いらねぇよ!」

「フッ、シフト!」

 ヴィーヴィルが竜化の文句を唱える。

 部分的に行うので、本来より短めだ。

 ヴィーヴィルの四肢が変質する。

 幻竜種特有の堅いうろこに覆われた物に。

「いくぜ」

 そう言って、砲塔を持ち上げる。

 少し踏ん張って、バランスをとって翼を広げる。

 そして、入り口に向かって彼は飛び立つ。

 それに続いて四人も。

「ふ、大したことないな」

 ヴィーヴィルが強気な発言をする。

「大丈夫かなぁ」

 日花里が呟く。

 そうこうしている間に、徐々に入り口に近づいていく。

「問題なかったみたい」

 凜華が呟く。

 もう入り口はすぐそこだ。

 後はそこのテラスに乗って、階段を通してゆっくり運び出せばいい。

「よし、これで……」

 ヴィーヴィルがそう言ってテラスに勢い良く乗る。

 瞬間。

「お?」

 その衝撃と砲塔の重みでテラスが崩れる。

「おおっと!」

 それによってヴィーヴィルがバランスを崩す。

 続いて支えが不安定になったことによって。

「な、ゴフッ!」

「へ?あフッ!」

「おふっ!」

「なっふ!」

 砲塔が他の四人に直撃した。

「あっ」

 彼がぽかんとする。

 四人は吹き飛ばされ、気を失い落下していく。

 さらにヴィーヴィルも。

「のわ!」

 バランスを崩したことで砲塔の重量がすべて圧し掛かり、強制的に下に落とされる。

「な!?くそ!」

 ヴィーヴィルは飛ぼうとする。しかしそれは叶わない。

「ギャッ!?」

 落下時、通路に頭を打ち付ける彼。

 それによって意識を失い飛ぶことができなくなった。

 結局のところ彼も落下。

 漏れなく全員底の見えない闇の空間に飲み込まれていったのだった。



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