第二章[人機再起動]第一話
「結構話飛んでません?いろいろ重要な話を省いている気が……」
「?何わけのわからないこと言ってるの?そんなことより、集中しようよ」
STPA-05に憑依するミューティが呟いている。
取り合えずそれは脇に置いておく。
結たちは飛行を続ける。
彼女らの初めての任務は、崩星大戦時の遺跡から物を運び出すことだった。
そもそも、デザイアとの実戦経験はないものがほとんどなのだ。
前線に出されるわけもない。
そんなわけで、彼女らはその遺跡に向かって、各々のパッケージを駆っていた。
「ちょっと、拍子抜けだったなぁ。少し訓練して、すぐに戦わされるものだと思っていたからなぁ」
そばを飛ぶ、ARPX-09[エアリアル]を纏ったフレースが言う。
「そう~?戦力が足りていないのは事実だけど、むやみに新人を使ってもすぐ死ぬだけだからじゃないですか~?」
ARPX-15―β[ルナゲイツ]を纏う日花里が言う。
「ま、まあそうだなよ」
フレースが答える。
彼は早く戦いたかったのだろうか。
というか、「死ぬ」と直球の表現を使うのか。
「まだなのかよ!」
叫び声が上がる。
早くもヴィーヴィルがしびれを切らしたようである。
ちなみに、彼はパッケージを纏っていない。
フレースにも当てはまることだが、彼らは元から空を飛べる。
彼の場合は、自分の翼よりパッケージで飛んだ方が速く、疲れないと考えているから使っているのだ。
ヴィーヴィルに関しては、本来の姿である竜形態の方が早いので、使っていない。
つまり、五人の横にはとんでもなく大きな竜が飛んでいるという事だ。
『あの……もうすぐですよ』
パールが言う。
彼女が乗っているのは、TCPA-06[λ(ラムダ)]だ。
右手に巨大な魔力反応砲を装備し、左手に格闘兼牽制用のソードライフルを装備した機体で、遠距離支援型のTCPA-04[ζ(ゼータ)]の発展機となる。
因みにフレースのパッケージは飛翔種専用の機体で、オーヴァードライヴシステムという特殊装備が組み込まれている。
そして日花里の機体は、小型の魔力反応砲と、反属性魔力ミサイル生成器を搭載したアーマードだ。
「そうなのか?まぁいい。早く行くぞ!」
ヴィーヴィルがその力強い翼を羽ばたかせ、さらに先に飛んでいく。
「あぁ、待ってくださいよ~」
『そうですよ……』
日花里とパールが飛行速度を上げる。
「結。私たちもいこ」
「うん」
機体のスラスター出力を上げる。
一気に加速する。
「ああ、皆さん!おいてかないでください!」
「そうだぞ」
ミューティとフレースもそれに続く。
「見えた」
「え、どこに?」
「あそこだって」
がそばを飛びながら指をさす。
「う~ん」
結は目を凝らす。
「あ、あれか!」
「そうそう、それ」
一行がそんなやり取りをしている間に目的地は近づく。
「確かあそこの物資を運べばいいんですよね」
ミューティが日花里に確認をとる。
「そうだよ~」
日花里がピースしながら答える。
十数秒後、彼女等は遺跡に到着した。
「おっと」
結はバランスを崩しそうになりながらもどうにか着陸に成功する。
他の五人も成功したようである。
「ふ、やっと着いたか」
ヴィーヴィルが人間形態をとり言う。
先と大幅に大きさは変化した。
「ここが……」
それは海辺の崖の先にある建物だった。
それなりの大きさを誇っており、あちこちに植物が生え、緑に包まれている。
壁はところどころ崩れ落ちており、遺跡らしさはかなり出ていた。
因みに地上に見える部分は家二件分程度だが、その下には広大な広大な空間が広がっている。
「いくぞ」
ヴィーヴィルが自身のパッケージ、ARPX-17[クラレ・リティア]を纏い、奥に入っていく。
「ちょ、そんな急いじゃ……」
「まぁまぁ、早くやるに越したことはないよ~」
「はぁ」
『皆さんは中に行くという事でいいですよね……?なら、私はここで通信係をします……。
有事の際は連絡を行うので……多分大丈夫でしょうけど……』
機体に乗ったままパールが言う。
「俺も残るぜ。か弱い女の子一人じゃ不安だろうしな」
フレースが名乗り出る。
彼は腕を組んで笑顔を浮かべている。
「でも二人もいらないんじゃ……」
日花里が疑問を口にする。
「いやそれはな……」
フレースが口ごもる。
前線でもないここにデザイアが来るわけもないし、通信係は二人もいらないだろう。
そもそもデザイアは今現在攻めてきていない。
まぁそれを言ってしまうと、パールがここにいる意味が薄れてしまうが。
パールの機体には高性能通信機が搭載されている。
電波状況が悪いところでも問題なく機能できる代物だ。
対して、フレースが持っているのは簡易的なもの。
性能もそこまで高くない。
よって護衛の意味もなし、通信兵して活躍する事もできない。
「いや~。ここにいてもあんま意味ないから一緒に来て。ね?」
「いやでも、折角いいところを見せ……」
「何か言いました?」
日花里が笑顔を浮かべながら、フレースに近寄る。
何かオーラが出ているようにも感じさせてくる。
「い、いえ」
何かを感じて、フレースは引き下がる。
「では、行きましょう~」
日花里がヴィーヴィルの入った後に付いて遺跡に入っていく。
「あの~、私も外居ますね。いつもの体は持ってきていないので。彼女が怒るので」
「分かった」
ミューティの言葉に凜華が返事をする。




