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結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
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結衣の誕生日 闇の世界side

「おじさん、これ一つください」


天気が悪く、昼間なのに薄暗い市場で、僕は赤い木の実を買った。キュイのお気に入りの木の実だ。すぐにバックのなかからキュイが顔を出して、僕の手に乗っている木の実を食べ始めた。ため息をつく。ここにきて4年たった。さすがにこの悪魔がうじゃうじゃいる空間にも慣れ、夜目も利くようになった。カイルによると、最初灰色だった僕の目も少し魔力で光るようになっているらしい。


「今日はゆいの誕生日だな…」


今日の夕食の食材を探し、市場を歩きまわりながら考える

あの子は大きくなっただろうか。父さんは元気だろうか。もう帰り方がわからない家を思った。

ここ闇の世界は、前にいた煙の世界よりも住みづらく、みんながみんなを疑っている。

仕事も見つけられないし家もなかった僕は、カイルに会うまでに何回も殺されそうになった。不意に肩をたたかれる。一瞬遅れてナイフを構えた。


「晩飯はなんにすっか決まったか?月夜」


カイルだ。


「ああお前か… 今日は蛇のシチューにしようかな。美味しそうな蛇を買ったし。」


ナイフをしまいつつ言葉を返す。


「そうか…お前いつもより反応遅かったぞ。いつもなら肩をたたかれた瞬間にナイフ抜くのに…なんかあったのか?」


「…今日はゆいの誕生日なんだ。もう十五歳になるかな。」


カイルは僕の妹自慢をよく聞かされていたのでそれで納得し、僕に笑いかけ、家に帰ろうと言った。僕は頷き、カイルと並んで家路についた。


―――


つきやさんに会った、あの時から4年。今日はつきやさんを市場で見かけた。おっきい蛇持ってたけど、どうやって食べるんだろう。

椅子に座って、ぼーっとそんなとりとめもないことを考えていると、家のチャイムが鳴った。

はいはーい。と返事をしつつ、カーディガンを羽織り、扉へいそぐ。スリッパをつっかけて、扉をひらいた。

目の前にはよく知った人…私が見つめ続けていた人と目が合った。


「かぐや。お前でかい鍋持ってねぇ?月夜が市場ででかい蛇かってきてさぁ。シチューにしようっていうんだけど、鍋入りきらなくて」


うそでしょ。カイルが鍋借りにだけど家に来てくれた!そしてやっぱりあの蛇は入らなかったんだな…ああ!緊張してきた


「もってる。持ってくる」


いきなりの訪問に若干カタコトになりつつ、キッチンに急ぐ。躓きそうになる。こけないようにゆっくり行きたい、でも待たせてはいけないと気持ちを焦らせつつキッチンまでいき、鍋を探した。

思ったより高いところにある。ジャンプ。とれない。


「おい、俺がとってや「とれたよ。どうぞ」…」


キッチンのシンクに膝をかけて、バランスをとりながらおおきいお鍋をとった。まあまあの達成感。カイルに今日一番の笑顔で手渡す…待って、なんでカイルが私の真後ろにいるの?え?とってくれようとしたの?私そんなチャンス逃したの?ああ…高いところのものをとってもらうって女の子アピールできたはずなのに…バカだ私…

私が頭の中で大反省会をしている間に、カイルはさっさと玄関に戻って外に出てしまった。


「ありがとな。これ、また今度洗って返すわ。月夜も喜ぶぞ。じゃあな」


バタン。扉の閉まる音。落ち込んでる間にカイル帰っちゃった。えー…じゃあねも言ってないよ?私。キッチンに座り込む。ああ そういえば…


「カイルって彼女いるのかなぁ」


―――


「月夜」


出るとすぐに月夜がいた。かぐやの家に鍋を借りに行くって言ったらついてきたから、なんか話したいことがあるのかと思えば何も話さずに俺を待っていた。なんなんだこいつ。


「どうだった?」


「ああ鍋は借りれ「そうじゃなくて」…たぞ?」


鍋じゃなかったらなんだっていうんだ。もう意味がわからん。いつもよりちょっと不満そうな顔してるし。かぐやがなんかしでかしたのか?あいつもよくわからんからな…今日ちょっと挙動不審だったし。


「まあわからないならいいよ。はやくシチューつくろ?」


「…おぅ」


いつもの冷たい顔に戻った月夜と一緒に二人で部屋に戻る。まあ月夜も話したくなったらいつでも話せるんだし、まあいいだろ。吐く息が白い。

あったかいシチューが楽しみだ。

氷華です

これで桜梨のほうと同じ時間になりました

こっからは平行して時間が進む…はず

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