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結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
7/51

仕事

「はぁ…はぁ…遅れてすいません!麻井結衣入ります!」


 工場に入るともうすでにみんな揃っていて、働き始めていた。


「麻井さん、あなたはまた遅刻ですか!今日という今日は、給料を半分にさせていただきます!」


 えっ、え…そ、それは…


「詩歌工場長、明日は必ず!絶対、遅刻しません!なので、給料を…」


 私はすがる思いで、詩歌工場長に頭を下げた…

 詩歌工場長?

 少し顔を上げると、目があった。

 どきっ…


「しかし、約束は約束です!こんなことを認めるわけにはいきません!」


 私は、うなだれたように肩を落とし小さくそうですねと呟き詩歌工場長に背を向けた。

 やっぱり今日という今日は駄目だったな…

 よれよれと歩き、ほんの短い距離なのに壁にぶつかり、小さな段差でも転ぶ私を見てさすがにまずかったなと詩歌工場長は思ったのか、私を呼んだ。


「もう…仕方ないですね…あと一日だけあげます。」


 …よ、よかった!


「ありがとうございます!」


 いつも、詩歌工場長は優しいもんな…


「ただし、くれぐれも明日は遅刻しないように!その時は、容赦なく給料を半分にします!」


 詩歌工場長は鋭く私をにらむと、絶対に!っと口パクで言った。


「はい」


 …まあとりあえず、給料半分は逃れたからいいか!


「わかったなら、さっさと持ち場につきなさい!」


 それだけ言うと詩歌工場長は他の人たちを見に行った。

 …さて、仕事に行かへんと…

 そう思い、迷路のようにくねくねしている狭い通路を通り抜けて自分の書斎に行った。

 この通路にもだいぶ慣れたな…もう、今日でもう4年目か…


「ピーピー…」


 突然の鳴き声にびっくりし鞄を開けた。

 すると、カピバラが鞄から酔っぱらいのように出てきてせき込んだ。

 何かあったんかな…

 確かめるべく、私は鞄に顔を近づけた。

 げっ、臭い…

 そういえばもう何か月も洗っとらん…


「麻井さん、何かそちらのほうから鳴き声が聞こえたのですけど、仕事してますか?」


 突然の詩歌工場長の声で体が震えあがり、カピバラを服の中に隠した。


「仕事してます!ちょっと鞄についていた鈴が落ちたみたいですいません!」


 ふう…鈴なんかついてへんけどこれで何とか誤魔化せたかな…

 私は、服の中に隠したカピバラを出すとすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。

 そっと、起こさないようにドアの死角に置き、持っていたハンカチをかけた。

 カピバラには悪いことさせてしもうたな…

 私は心の中でカピバラにごめんと謝り、さっそく仕事にとりかかった。

 どさっ

 あっ…仕事増えたな…

 でも、今日は何としても早く終わらせて帰らへんと!

 だって、今日は記念すべき私の15歳の誕生日やからな!


桜梨です。

詩歌工場長、いい人なのか悪い人なのか…どうなのでしょう?

次は氷華の番です。

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