表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結衣と月夜と不思議な四つの世界  作者: 氷華 桜梨
6/51

カピバラ

 やばい、どうしよう…通れん…

 そう、なんと近道の路地裏が野良カピバラの集会によって封鎖されているのである。

 そして、もう引き返せないような真ん中のところまで来ていて前にも後にも引けなかった。

 どうしてこんなことになるの!

 私はどうしようかと思い、上を見上げた。


「キュルキュル!」


 あっ…なんか落ちてくる…カピバラ?

 って、えええ…カピバラって空から降ってくるもんなの?

 最初は何とも思っていなかったものの、だんだんと近づくにつれて何がどうなっているのかわからなくなった。

 あれは、赤ちゃんかな?

 結構小さいよね…

 研究者のように分析していたら、そのカピバラが私のところへ真っ直線に落ちてきていることを知り、慌てふためいた。

 ドサッ!

 しかし、私はどうすることもできずカピバラとぶつかった。

 痛い…


「ピーピー…」


 あっ、カピバラ…

 か、かわいい…こんなに可愛かったっけ…カピバラって

 その場にしゃがむと、恐る恐るカピバラを抱き上げ頭を撫でた。

 お、思ったより毛がごわごわしとる…


「キュルキュル…」


 カピバラは私の手を払うと、塀に体当たりを始めた。

 何度か、体当たりをすると疲れたのか塀を前足でほりだした。

 不思議に思ったが、塀に上りたいのではと思い私はカピバラを塀の上に乗せてやった。

 するとカピバラはお礼をいうように頭をちょこんと下げると、ペタペタと足音を立てて行った。

 すごい方法でこんな閉鎖されているようなところを抜けていったなと感心している時、私の腕時計が危険な音を発した。

 ピヨピヨ…ピヨピヨ…

 やばい、早く行かへんと!

 私は、今更ながら今自分のいる危機的状況を思い知らされ頭を抱えた。

 あっ、塀を使えばいいのか!

 カピバラ!ありがとう!

 塀をよじ登って、15センチほどの幅を綱渡りの要領でカピバラの集会を回避した。

 よいしょっと…

 塀から飛び降り、カバンをかけなおすと、私は工場へ急いだ。

 たぶん、もうあのカピバラとは会わないだろうな…

 しばらく進むと後ろから何かつけているような足音が後ろからした。

 ペタペタ…

 まさかとは思うけど、あのカピバラ私についてきてる?

 一度立ち止まり、後ろを振り返った。

 でも、さすがにそれはないと思い、私は走りだした。

 工場に着くと私は覚悟を決めるため、立ち止まり建物を見上げた。

 そして、工場の中へと踏み込もうとしたとき後ろからびっくりするような鳴き声が聞こえてきた。


「ピーピー」


 これは、もしかしてと思い私は恐る恐る後ろを振り向いた。

 そこにいたのは、まぎれもなく空から降ってきたカピバラだった。


「やっぱ、あのカピバラだったんだね…想像はついてたけど…」


 私は、言葉を理解するはずもないカピバラに向かってそう呟いた。

 どうしようか…このまま置いてこうとしてもついてきそうだし…


「キュルキュル…」


 カピバラが心配そうに体を傾けた。

 もう…工場に連れていくしかないのかな…

 私は少し考えた後やっぱり置いていくのは心配だからと思い、工場の中に連れていくことにした。


「わかったから、おいで」


 受け止めるようにして両手を広げるとカピバラは短い脚を懸命に使って私のところまで走ってきた。


「キュルキュル!」


 そっと、抱き上げると私はカピバラにおとなしく鞄の中にいるよう忠告をした。

 でも、そんなに工場に入れることがうれしかったのか私の手をずっとぺろぺろ舐めていた。

 これは、聞いちゃいないな…まあ大丈夫だろう…

桜梨です。

結衣の番がやっと来ました!

そして、カピバラが現れました!

これからが楽しみです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ