第五話.夜が明ける
今日はこんな夢を見た。いつもならかなりホラーな夢を見てしまう俺は、久しぶりにまと
もな夢を見た。俺のクラスでの平和な夢。素直で、飾り気のない笑顔の自分を羨ましく思
ってしまうような。 そんな夢。
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目が覚めて、いつもどおり俺はかわけんに電話をかけた。けど、
「プツッ、、、ツー、ツー・・」
その音が繰り返されるばかり。5回ほどして、かわけんのおばあちゃんが帰ったのか、電
話に出てくれた。
「――ですが・・・ 君いますか?」
待っててと、いつもどおりの反応。そこから狂いだした。
「あの子ね、電話出たくないみたい。また今度かけ直してあげて。」
「あ、、、はい。分かりました・・・。」
こんなことは初めてだった。初めてなだけに、少し焦りはしたが、軽く流してメールをし
た。内容は、
『今日行っていいーーーーーーーーーー?』
無駄にーの多く、基本短いメール。いつもどおりなのでそれを送る。そして返信を待つ。
夕方になっても、それは帰ってこなかった。
もしかしたら体調でも崩したのかもしれない――
そう思って、それ以上メールを打つことはなかった。
その日は、俺の夏休みで最もすることのなかった日だった。
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夢の中では全てがリアルで、恐怖さえも覚えてしまうようなものをいくらでも見てしま
う。見たくないものほど、俺の夢の中に描写され、意識の中に具現化されていった。
そんな夜、俺が見た夢。
「――電話出たくないみたい――」
その言葉は俺に対してなのか、誰からかかってきてもそう言うつもりだったのか。
その言葉は繰り返される。繰り返されるほどに不安になる。不安になり、怖くなる。
気がつけば、夜が明ける。
夜が明けます。そろそろ終わるかもって、早っ笑