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鎮所

作者: 尚文産商堂

日本海軍では鎮守府と呼ばれていたが、一民間企業である手野武装警備ではその呼び名ができないという問題があった。

国の施設の名前を、民間企業が使うとなれば混乱するということだ。


当時、第一次大戦の結果、南洋に委任統治をすることとなった日本は、軍事予算から一部を回すということをしていた。

しかしながら、予算は常に逼迫し、いつ財政破綻となってもおかしくないということになっていた。

借入金がほぼ常時歳入を上回っていたことから考えるに、これらの警察力の一部を、民間企業へと解放することにするのは、予算軽減ということから見て正しいとされる。

それが本当に正しい行為なのかはさておいて、その結果生まれたのが、武装警備業務と呼ばれる企業である。

当時にしては高額である資本金が500万以上、かつ半期に1回の決算を行うという規制がある。

さらには、政府の指定によってのみ開業することができるという、規制だらけの業種だ。

名乗りを上げたのは、誰もが知っている財閥だけである。

その中でも手野武装警備は格別であり、国以外で戦艦まで作ったのはここだけだ。


そしてその根拠地を国のあちこちに作り、さらには世界中に作ることを申請した。

さて、ここで政府は困った。

国としては鎮守府と名付けたいところであるが、一方でその名前を使うと、今ある海軍の施設と一致してしまい、まるで武装警備会社が海軍の一部であるという誤認を受ける可能性があるとされたのだ。

そのため、別の名前で申請するようにというお達しが手野財閥へと返信され、手野財閥側で名前を考えなければならなくなった。


春雷会と呼ばれる会社があり、手野財閥全体にかかわる事柄がここで審議される。

そこでの審議の結果、鎮守府の語源とも言われる、鎮所(ちんしょ)という名前が決定され、政府へと再び申請された。

今度は誤認されることも少ないだろうということで、申請は受理され、閣議によって政令として公布された。

ここに、武装警備会社の海軍根拠地の名前は鎮所であるとされたのである。

これが、戦後に武装警備業務が復活してからも使われている。

もっとも、使っているのはもはや手野武装警備のみではあるのだが。

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