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プロローグ

本日2回更新するうちの1回目です。

20X5年4月4日


 一人の少女と一人の少年が、対峙する。



 少女の名は二神ふたがみ時雨しぐれ


 100人いれば100人が認めざるをえないレベルの美少女。ツインテールにした炎髪に小さな顔。大きな緋色の瞳は大きく、意思の強さを感じさせる強い眼差しを放つ。右耳にはルビーのピアス。


 時雨がまとうゴシックロリータの赤と黒の衣装は、ボロボロに破れていた。膝上15cmの短いスカート丈の下にある黒のニーソも破れがひどく、わずかな絶対領域から見える白肌には生々しいり傷。これらが、これまでの苦戦のさまを物語る。


 両手に深紅の皮の長手袋をはめ、右手には先端に(こぶし)くらいの大きさの赤い大きな宝石を備えた漆黒の杖を持つ。



 だが、時雨は、その漆黒の杖を構えようとはしない。




「どうしても、お前と戦わないといけないのか?」


 時雨は悲しげな声で、少年へ尋ねる。




「そうだ」


 少年は冷淡な声で言い放つ。



 少年は、男としては、やや長髪の黒髪を風にたなびかせる。

 切れ長の目をした端正な顔立ち。


 そして隻眼せきがん


 少年の名は、人色ひといろ蔵人くろうど

 《HYPER CUBE》世界に君臨せし絶対的序列第1位。その2つ名は『隻眼の使徒』。




 蔵人は聖剣エクスカリバーを両手で構え、少しずつ時雨との間合いを詰めていく。



 時雨は涙声で叫ぶ。


「お前はギルド『最前線』の仲間だったアルトくんをほふり、私の姉のしずくをもあやめた。

 つまり、お前は人類サイドを裏切りビグースのサイドについたというこどだな。

 そして今度は私をるつもりなんだな……なんでだ? そんなの闇堕やみおちじゃないかっ!」



「安心しろ。お前も、もうスグあいつらの所へ行ける」


 顔色一つ変えず、蔵人は吐き捨てるように言う。



「なんでだ? 決戦の地・ラグナロクで、お前はVivid Edged Blackと約束したじゃないかっ!

『俺が人類を守る』って言ってたじゃないか。

 そんなお前がどうしてビグースサイドに行ったんだ?今からでも、やり直そう。人類のがわに戻って来い」


 悲痛な面持ちで、時雨は懸命に説得の糸口を見つけようとする。



「不毛な議論は嫌いだ」


 蔵人はニベもない返答をする。



「私はお前と戦いたくない……目を覚ましてくれ、人色蔵人……

 お前は私のタッグパートナーだ、契約者じゃなかったのか?」


 時雨は懇願こんがんするような口調で尋ねる。



「それは《HYPER CUBE》世界大会でタッグを組んで優勝するという契約だ。

 契約内容にお前の命の保証は含まれてない。すなわち、俺がお前を殺す行為は、契約内容の射程外にあ る。ゆえに、俺がお前を殺すことと、俺がお前の契約者であることには全く無関係だ。

 この議論において、契約者であることを持ち出す事には、なんの意味も無い。

 まだ何かあるか?」


 蔵人は時雨を完全論破する。



「お前と戦わないといけないんだな?」


 時雨は粘る。



「二度言わせるな。早く杖を構えろ、雑魚がっ!」


 挑発する口調で、蔵人は時雨をなじる。



「……分かった」


 時雨は蔵人への説得が無意味であることを察した。

 そして、人類を守るために意を決した。時雨は漆黒の杖を構える。




ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドン


 大きな雷鳴がとどろく。

 時雨は特殊()能力(キル)(ドラゴニア)()(ンダー)』の最終形態たる『竜神の逆鱗』を発動する。それこそは《HYPER CUBE》界で随一の貫通力を誇る最強の特殊能力(スキル)



 同時に辺りは、激しく青い閃光に包まれる。

 《HYPER CUBE》界に君臨せし絶対的序列第1位『隻眼の使徒』人色蔵人の特殊()能力(キル)集極(エターナル)(ウェーブ)より来たりし(サデニシオン)』。


 時雨と蔵人の最強の特殊()能力(キル)が同時に発動された。



「私が押されている……エターナル・ウェーブ・サデニシオン……ここまでの力が……やはり私は負けるのか……死んでしまうんだな……」


 自らの体が下半身から徐々に消失していることで、時雨は自分に死期が来たことをさとる。



「そういうことだ」


 時雨を見ながら、蔵人がニヤリと笑う。



「雫やアルトくんに、宜しくな。

 チェック・メイトだ、二神時雨。

 安らかに眠れ」


 蔵人は静かに言った。




 『集極(エターナル)(ウェーブ)より来たりし(サデニシオン)』。その特殊()能力(キル)を受けて再び立ち上がった者は歴史上存在しない。




 1度めはバビロン事件において、バビロンの塔最上階で100人を人質にとったラスボスが。

 2度めは重装のNPC『騎士(デュ)亡霊(ラハン)』が。

 3度めは『奇跡(ミラクル)林檎(アップル)』の使い手、世界屈指の《HYPER CUBE》プレイヤー矢沢京介が。

 4度めは近接戦闘戦闘家として世界最巧と謳われた矢沢月乃が。

 5度目は元グリーンベレーにして特殊()能力(キル)『Unlimited Knife Fenomenon』の使い手、伝説の英雄サンダース大佐が。


 6度目は世界屈指のプレイヤーからなる最強ギルド「最前線」のメンバー相手に連勝した神殺しの特殊()能力(キル)『ホワイトアウト』の使い手、ホワイトナイトことPureSublimityWhiteが。


 7度目はVivid Edged BlackのサーヴァンとにしてVivid Edged Blackのメイン盾。重力異常とファイアピラーの使い手、シェーシャが。

 8度目はプレイヤー殺しの最悪パーティーと言われる不倒の集団『デュラハン3兄弟』が。

 9度目は《HYPER CUBE》史上最強最悪の悪夢と言われた聖剣エクスカリバーの守護者の使い魔・覚醒バジリスクが。

10度目はアメリカ海軍第7艦隊が停泊していた軍港を周辺都市ごと消滅させた特殊()能力(キル)『黄昏より(ハイパーダーク)(サデニシオン)』と魔剣レーヴァテインの使い手ビグースVivid Edged Blackが。



 そして、今、隻眼の使徒・人色蔵人のタッグパートナーにして、《HYPER CUBE》界で随一の貫通力を誇る最強の特殊能力(スキル)・『竜神の逆鱗』の使い手、二神時雨が、わずか一撃で敗れ去ったのだった。




「これで全てが終わったな」


 蔵人は冷徹な表情のまま、両手を広げて天を仰ぐ。



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