第34話 新たなる守護者:この身体 この精神 この魂 全てを永遠に捧げんことを
第34話 新たなる守護者:この身体 この精神 この魂 全てを永遠に捧げんことを
身長15cmほどのカワイイ女の子の妖精が表れる。
「クエスト達成、おめでとうございます!
これよりエクスカリバーの守護者より、聖剣エクスカリバーが授与されます!」
妖精は笑顔で言った。
「えっ?!さっきのバジリスクが聖剣エクスカリバーの守護者じゃないのか? お前が守護者なのか? でもクエストは達成されたんだよなっ」
時雨が妖精に詰問する。
妖精は笑顔で答える。
「はい。先ほどのバジリスクは、守護者の代理として戦った守護者の使い魔です。ですから、皆さまは、クエストを達成されたわけです。私は、この継承の儀式を統べる巫女として、また進行役として作製されたNPCのYUKIと申します!」
「今から10秒後に、聖剣エクスカリバーの守護者が、皆さまの前に現れます!」
妖精YUKIは笑顔で告知する。
「守護者って、どんな奴なんだ?」
時雨がつぶやく。
「きっとダンディーな紳士さんやで!楽しみやわ」
月乃がウットリした顔で期待する。
意識を失っていたロックコがムクリと起きて雄叫びを上げる。
「ウヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ、きっとジブリールたん!」
妖精のYUKIがカウントダウンを始める。
「間もなくです。聖剣エクスカリバーの守護者が皆さまの前に現れます!5、4、3、2、1!」
その瞬間、あたり山頂一帯が黄色い閃光に覆われた。
閃光は次第に収束する。
全長1m50cmほどの聖剣エクスカリバー。豪勢絢爛な装飾を備え、その刀身は鋭い輝きに充ちている。
その聖剣エクスカリバーを両手で恭しく掲げる者がいた。
その者こそは、20代半ばでありながら世界有数のゲーム会社であるイリュージョン・アーツ株式会社の代表であり、また《HYPER CUBE》の開発者として世界に名前を轟かせし男。そしてイリュージョン・アーツ魔法学園学園長。
水鏡恭一郎、その人だった。
「お前が守護者なんかいイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」
月乃が全力でツッこむ。
「ジブリールたんと全然違った……」
ロックコは失意から再び気を失って倒れる。
「僕はお呼びじゃなかったかな……」
水鏡は苦笑する。
「まぁ、このアイテムは攻撃力を5.14倍も高める超レアアイテムなんだ。だから、作るのにメチャクチャ苦労したよ。だけど、これはきっと、みんなの役に立つ!だから、僕はみんなの笑顔を見に来たんだ。
みんなから、ありがとうって労ってもらう為にね」
「ああ、最後の一言で全部台無しだわ」
時雨は毒を吐く。
「で、これは誰に渡せばいいのかな?まだ決まってないのかな?」
水鏡は苦笑しながら、話題を変える。
「決まってるよ。俺たちギルド『最前線』でドロップアイテムのロットに参加するのは、ただ1人だ。それは、その戦闘で最も火力を出した者。だから、さっきのバジリッコク戦、戦いが終わった瞬間には、もう決まってたぜ」
京介は、そう言って1人の男を見つめる。
時雨も、雫も、ロックコも、月乃も、アルトくんも、プレトも、セレーゾ神父も、皆、1人の男を見つめる。
水鏡は、そんな皆の視線を追い、聖剣エクスカリバーを携えて、その男の前へ立つ。
「蔵人くんなんだね」
妖精のYUKIが慌てて、蔵人と水鏡の間に立って、唱える。
「汝、新たなる守護者・人色蔵人よ。良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も、この剣を携え、この剣と共に歩み、他の者に依らず、
死が命運を分かつその日まで、この剣への忠誠を誓い、己の命を懸けてこの剣を守護し、
戦い続けることを、神聖なる聖剣の守護者なる契約のもとに、誓いますか?」
「ああ、誓う。この身体、この精神、この魂、全てを永遠に捧げんことを」
蔵人は力強く頷く。
水鏡は深く頭を下げながら、両手でゆっくりと聖剣エクスカリバーを蔵人に捧げる。
蔵人も、深く頭を下げ、両手でこれを受け取る。
「これにて聖剣エクスカリバーは、死が命運を分かつその日まで、人色蔵人さん、あなたを守護者であることを認めました」
妖精YUKIは笑顔で告げる。
「おめでとう、蔵人くん。これからは君が新たなる聖剣エクスカリバーの守護者だ」
水鏡は蔵人を祝う。
「そして、これはオマケだよ」
そう言って水鏡は、銀の十字架のストラップを蔵人へ渡す。
「このストラップにはGPS機能と音声認識機能が付いてるんだ。そして、このストラップに君が聖剣を呼べば、この聖剣は君の下へ駆けつける」
と水鏡は説明する。
「え?そんなのまで作ってたのか?
十字架っていつも蔵人が集めてるラッキーアイテムじゃないか。水鏡、その聖剣、蔵人のためだけに作ったんじゃないのか」
時雨が口を尖らせて抗議する。
「そうだよ」
ロックコも便乗する。
水鏡は優しい笑顔で、首を横に振る。
「そんなことないよ。これは皆のためのアイテムなんだ。
そして、今回のクエストはみんなへの大切なテストでもあったんだ。知力を尽くしてきた最強のビグースを想定してのね。その難解なテストに、君たちは力をあわせて、お互いを守りあい、1人の負傷者も出さずに、合格したんだ。
今の君たちには骨休めも必要だ。
よしっ!
ご褒美に、残りの合宿期間はみんなの行きたいところに遊びに行こう!
僕にはプライベートジェットがある。スイスに限らなくていい、どこにででもいいよっ!」
そう言うと、水鏡は優しげな眼差しをメンバーたちに向ける。
「いいのか!じゃあ俺はロンドンのFPSカフェで腕試ししてみたいっ!」
と京介。
「ウヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ、ベルリンにデカいゲーセンができたってネットで見たぜ」
とロックコは叫ぶ。
「最近バルセロナにできたディズニーランド行ってみたかったんだ」
と時雨。
「私はルーブル美術館ね」
と雫。セレーゾ神父とプレトも、相づちを打って賛成する。
「ウチはバチカンやな、スピリチャアルポイントやからね」
と月乃。
「僕はエベレスト山頂に1度行ってみたかったんだ」
とアルトくん。
「蔵人くんは、どこがいいんだい?」
まだ何も言ってない蔵人に、水鏡は聞く。
「夕陽だな。俺は、ここにいるみんなだけで、大西洋に夕陽が沈んで行く景色を海岸からみたいな」
と蔵人。
「よし、僕のプライベートジェットで全部行こうっ!」
水鏡は力強く約束する。
「ちょっと待って、水鏡さん。今、気づいたんだが、今の俺たちは昨日のマラソンとさっきの戦闘で体力が消耗しきった状態だ。こんな状態の俺たちが、街中に出たときにVividEdgedBlackに襲われたら、俺たちは全滅じゃないか。明日にしないか?」
危機に気づいた京介は、延期を提案する。
「はっ!そうだね」
水鏡も、賛成する。
「そんな必要はないよ」
蔵人は、完全否定する。
みんな消耗して疲れ切っていることから、ギルド『最前線』のメンバーは、1人異を唱える蔵人を不思議そうに見る。
蔵人は、ゆっくりと口を開く。
「わざわざ街中に出たときに襲いはしないよ。襲おうと思えば、今、ここでスグにでも襲えるんだからな。
だって、『Vivid Edged Black』は、このギルド『最前線』の9人の中にいるんだから」
その場にいる誰もが激しい驚きに言葉を失った。
次の更新は明日です。
ついに蔵人によるVivid Edged Blackの正体の証明がなされます。
タイトルは「Vivid Edged Black」。




