第26話 超混沌(すごくハーレム)
第26話 超混沌
ガチャッ
シャワー室のドアがまたもや開く。
「2人やない。3人や。ウチを入れて」
そこに立っていたのは、世界屈指のプレイヤーからなる最強ギルド「最前線」のメンバーの1人。近接戦闘家として世界最巧と謳われるプレイヤー。そして《HYPER CUBE》東京予選決勝で蔵人と死闘を繰り返した相手。駅前のファーストフード店での蔵人のバイト仲間でもある。
矢沢月乃その人だった。
「ダーリン、ウチも来たで」
「月乃……何をしにきたんだ?」
「夜這いに来たんよ。ウチは肉食系やからね」
「えっ……」
蔵人は絶句する。
「というのは冗談で、お詫びに来たんよ。《HYPER CUBE》東京予選のときは、ダーリンのこと誤解してたから、暴言吐いてしまってたこと、ずっと気になっててん。せやから、エッチなご奉仕することでお詫びしよと思って背中流しに来たねん」
「夜這いが冗談で、エッチなご奉仕に来たって……それ、あんまり変わってないんじゃないか……」
蔵人は、またもや絶句する。
そして、蔵人は月乃が競泳水着を着ているのに気づく。推定95cmはある月乃の胸が、競泳水着で締めつけられることで強調され、思わず蔵人はそこに見入る。
「もう、ダーリン。エッチな視線で視姦せんといて///
男の子にとって女の体はスピリチュアル・ポイントやからやな……こんなサービスめったにしないんだからねやで……」
そう言って月乃は頬を染めて照れる。
「月乃、あなた胸大きくて腰も引き締まってるしスタイルいいわね」
エリチは感嘆した顔で月乃を褒める。
月乃は素早くエリチの背後に回ると、エリチの胸を激しく揉みしだく。
「アンッ♡」
エリチは思わず声を漏らす。
「エッチな声が出てるで、エリチ。エリチも大きくて張りのあるオッパイしてるやんか。職業は従順な守護者でも、体の方は『わがままボディ』やね。どこがええのんや?」
そう言いながら月乃は、さらに揉みまくる。
月乃は続いて時雨の背後に回って、時雨の胸を激しく揉む。
「ひゃん!
コラッ、やめるんだ、月乃」
驚いた時雨は必死に抵抗する。
「そんな抵抗したら、わしわしMAXやで~。う~ん、でも、こっちはまだまだ発育途上やね~」
「ウッ」
貧乳を気にしてる時雨は、言葉に詰まり、落ち込む。
予想外に激しく落ち込んだ時雨に驚いた月乃は、慌てて話題を変える。
「エリチ、さっきサンダース大佐の特殊能力『Unlimited Knife Phenomenon』から身を挺して時雨を守ったとき、感動したわ。スゴかったで。なかなかできることやないからね」
「ありがとう、月乃。2mの大盾を顕現できたのは、《HYPER CUBE》世界の道具を具現化させるってサファイヤの指輪を時雨に借りてたからよ。それで、顕現させた大盾に気(KI)を集中させることで、硬化させたの。あとは無我夢中だったから、よく覚えてないけど、時雨に覆い被さって守ってたみたいね」
「うん。ホンマすごいわ。それに《HYPER CUBE》では盾装備できる人自体が激レアで、それもみんな小盾の人ばっかや。そやのに、エリチは2mもある大盾やし、すごすぎるわ。エリチみたいな優秀なメイン盾がいるギルドやったら、みんな安心して攻撃できるし、うらやましいわ」
それを聞き、エリチは急に寂しげな表情になる。
「月乃ありがとう。でも、私、ギルドには入ってないの」
「え?そうやったん?」
「なんでだ?エリチくらい優秀な人材は、前線以上も含めてどこのギルドも喉から手が出るほど欲しいはずだろ。スカウトされまくってきたんじゃないのか」
月乃が不思議がり、時雨も疑問から激しく食いつく。
「私はね、ロシアの孤児院で育って、その後、ずっとロシアの陸軍にいたからね。ロシアの陸軍には、プライべートでも、ネット空間で外部とコミュニケーションをとることは一切禁止するって軍規があるの。だから、《HYPER CUBE》では1度もギルドに入ったことがないの。ソロ専のプレイヤーよ。
でも、VRMMOのソロプレイヤーには絶対的限界がある。
だから、未だに中級くらいのMAPで止まったままなのよ」
「エリチ……嫌なことを思い出させてしもてゴメン……」
エリチの思いもかけない返事を聞いて、月乃は申し訳なさそうに詫びる。
「嫌なんかじゃないわ」
「えっ」
「だってソロ専の私にとって、いつも新MAPに1番乗りして、1番に新MAPを開拓して新ボスを1番討伐ばかりしてきた集団であるギルド『最前線』は、憧れの対象だったもん。そんなみんなが今こんなに身近にいるっていうは、考えようによっては、その時のおかげって言えるでしょ」
エリチはそう言って、笑顔で明るく言う。
「「エリチ」」
心の綺麗なエリチらしい言葉に、月乃も時雨も、感動から涙ぐむ。
「ってドコ見てんのよおおおおおおおおおお」
エリチは突如、バスタオルがはだけた胸元を直しながら蔵人に向かって絶叫する。
「ダーリン、今、私の胸元をエロい目で見てたわよねっ!」
エリチは蔵人を激しく詰問する。
月乃が激しくエリチの胸を揉みしだいたことで、エリチのバスタオルの胸元がはだけた状態になっていて、蔵人は思わず見入ってしまっていたところを、エリチに気づかれたのだった。
「うっ」
蔵人は言葉につまる。
そして、その場を誤魔化すために両手についたハンドソープで、シャボン玉を作ってみせる。シャボン玉は50cmほどにもなり、浮かび上がる。
「しゅごい大きいね。大きいの。しゅごいのおおおおおおおおお」
エリチは、大きなシャボン玉が珍しかったのか、一転して無邪気に大喜びで叫ぶ。
そんな大きなシャボン玉に興奮するエリチがおかしかったのか、月乃と時雨も、エリチに続ける。
「さすがダーリンや。しゅごいのおおおおおお。メッチャ大きいやん」
「大きくて、しゅごいのおおおおおおおおおお。そんなに大きかったら困るじゃないか。しゅごい大きいの」
その時。
ガチャ
シャワー室のドアが突然開く。
入ってきたのは、この学生寮で寮監も兼ねている粟山さんだった。
「コラああああああああああああああああああああ。何いかがわしいことしてるんですかっ!」
粟山さんは全力で怒鳴りつける。
「それは誤解だ、粟山」
時雨は釈明をしようとするが粟山さんは聞かない。
「ダメです。こんな密室で4人の男女が半裸になってて、なに白々しいこと言ってるんですか。思春期の男女が半裸な状態で密室にいれば、やることは1つしかないことくらい私も分かってます。現に今、いかがわしいセリフをちゃんと、この耳で私は聞きました。隣の部屋のロックコさんから通報があったんです、乱交パーティーが行われてるみたいだって。だから来てみれば、やっぱりでしたね。もう、今後こんなことがあったら、退寮処分ですからねっ!」
粟山さんは、スゴい剣幕で聞く耳を持たない。
「チッ、あの通報厨が」
時雨は舌打ちする。
結局、この日の混沌は、お開きとなった。
だが、その翌日から、ロックコの寝静まった午前2時から、蔵人の部屋のシャワー室では、女子3人がかりで蔵人を強制する形で背中流しが毎晩こっそり行われ続けることを、その時の粟山さんは知る由もなかった。




