第12話 Dr.Intelligence
第12話 Dr.Intelligence
蔵人は続ける。
「ハイパーキューブ症候群S型レベル4。これを発症すると
俺は死ぬ。」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああ」
泉の叫び声がコンピ研の部室に響き渡る。
蔵人は泉の微笑みながら、震える泉の頭を撫でる。
「心配するな、泉。
イリュージョン・アーツの医師団たちは、今、懸命にハイパーキューブ症候群S型の治療法を研究してくれているらしい。水鏡さんが俺たちのために選んでくれた一流の医師たちが、そう約束してくれたんだ。だから、俺は彼らのその言葉を信じる」
泉も黙って頷く。
「それに俺にはやらなければならない使命がある。自分の体の心配なんてしてる暇はないからな」
「使命?」
泉は不思議そうに蔵人に尋ねる。
「ああ。泉がDr.Iとして収集してくれた日本国国防軍が隠蔽している機密情報があっただろ」
「うん。昨年の10月10日と11月11日に航行中の海軍の最新鋭の潜水艦がビグースに破壊された。そして昨年の12月12日に陸軍基地で最新鋭の戦車がビグースに破壊された。そして、今年の1月1日に空軍の最新鋭の戦闘機が、ビグースに破壊された。でも、自衛隊が再編して作られた今の国防軍は、空軍、陸軍、海軍が互いにいがみ合っていて、体面を重んじてばかりいるから、お互いにこの情報を全く伝達しあわずに隠蔽しているどころか、国防大臣に報告すらしていないのよね。本当にヒドいよね」
「ああ、そうだ。
ビグースは明らかに人類を挑発しているが、挑発された人類が挑発に気づいていないんだから、論外だし滑稽ですらあるよな。
そして、事件は10月10日、11月11日、12月12日、1月1日に起こった。何か気づかないか?」
「え?」
泉は驚く。
「た、確かに、ビグースは月の数字と同じ日に事件を起こしている。4ヶ月連続だし、そこには規則性はあると言える。そうすると、次の事件は、2月2日。え?明日じゃない!ビグースは明日、また新たな事件を起こす!」
「ほお!泉えらいな。」
蔵人は感心した顔で泉の頭を撫でる。
「もう、子どもじゃないんだから、それくらい気づくよ!」
蔵人に褒められて、泉は嬉しそうに返事をする。
「ここからが本題だ。明日の新たな事件を、ビグースはどこで起こす?」
「そんなの分かるわけないよ。そんなのビグースに聞いてよ」
泉は、そう言ってオドける。
だが、蔵人は真剣な眼差しで泉を見つめる。
「はっ!」
そこで泉は、いつかのホームルーム前の蔵人との会話を思い出す。
「なあ泉、CIAのIってどういう意味か知ってるか。これは、お前の弱点でもある。だから聞いて欲しい。CIAのIはIntelligenceつまり知力だ。彼らは情報を集めるだけでなく、それを徹底的に知性を使って分析する。その結論は俺の知る限り全てが最善手だ。ウォーターゲート事件、スノーデン事件と何度も組織解体の危機に陥りながらも、彼らはその度ごとにむしろ自らの力を強めてきた。奇跡といえるほどに。泉、お前は世界の誰より情報を収集できる力がある。だが、それは世界で1番情報の海で溺れるリスクがあるということでもある。俺はいつまでも、お前の側にいられるとは限らない。高校を卒業すれば、みんな進路は違うだろう。もし、お前が困った自体に陥ったとき、「知力を使って分析すること」このことを覚えていて欲しい。」
そんな蔵人の言葉を泉は多い出す。
「蔵人くんは私が知力を使って分析する訓練をしてくれようとしてくれている。私のことを心配してくれているからこそ!頑張らなきゃ!Dr.Iを初めて名乗ったとき、そのときはイズミのIのつもりだった。でも、私はDr.Intelligenceにならなきゃいけない。私がそう決めたんだから」
泉は心の中でつぶやき、懸命に考える。
「!!わ、分かったわ!」
嬉しさに泉は叫ぶ。
「今回のビグースは、人類を挑発しようとして3つの事件を起こしている。だとすると、4つの事件の位置情報を、新たな事件の予告とすることで、さらなる挑発をしていると考えることが合理的である!」
そう言いながら、泉はスクールバッグから授業で使う地図帳を取り出して、日本地図のページを広げる。
「最初の事件が、ココ。次がココ。3つめがココで4つめがココよね」
そう言いながら、泉は地図帳に事件のあった場所をマークしていく。
泉は続ける。
「そうすると四角形ができる」
そう言いながら泉は、マークした4つの点を定規を使って線で結び四角形を作る。
「そして、四角形の位置情報により予告するのなら、その四角形の対角線の交差する点を利用するって考えるのが最も合理的である。その交差する点となるのココ!!
20※※年の富士山大噴火に連動する海底噴火でできた静岡県沖の新巌流島!!
よって、明日、2月2日、ビグースは、新巌流島で新たな事件を起こすQ.E.D」
泉は自信に満ちた笑顔で証明終了を告げる。
「さすがDr.Intelligence、正解だ」
蔵人は、労うように嬉しそうに頷きながら、笑顔で泉の頭を撫でる。
期待に応えられたという嬉しさから泉の瞳からは、1筋の涙が零れる。
蔵人は告げる。
「だから明日、俺は新巌流島へ行く」




