最後の戦い!
-Chinatown Warehouse-
ユオは血を流して倒れていた!
ボッサンはユオを抱き上げて小声で言った。
「ユオ!しっかりしろ!」
その後ろでマリリンが鉄パイプを振りかぶった!
その振りかぶった姿が、ユオの後ろに置いてあった空きビンに反射して見えた!
とっさにユオを抱えたまま横に転がった!マリリンの振り下ろした鉄パイプは、ボッサンの横の床を叩いて火花を散らす!
ボッサンはすかさずマリリンにガバメントを向けた!マリリンは振り下ろした鉄パイプを振り上げてガバメントを弾き飛ばした!
「くそっ!」
ボッサンはマリリンにタックル!木箱に背中を激しくぶつけるマリリン!
「ぐっ!」
マリリンは両手を組んでボッサンの背中を強打!そして膝蹴り!よろめくボッサン!
マリリンはボッサン目掛けて鉄パイプを振り下ろす!ボッサンは横っ飛びしてかわした!
マリリンは鉄パイプをバットスイング!ボッサンは飛び退く!
マリリンの振った鉄パイプは、木箱に刺さった!それを見てボッサンはマリリンを蹴り上げた!
「わっ!」
鉄パイプを落としたマリリンにボッサンは顔面にパンチ!膝蹴り!そしてアッバーカット!吹っ飛んで床に倒れるマリリン。
ボッサンはマリリンに馬乗りになった!
「おいマリリン!今までよくも騙してくれたな!」
ボッサンはマリリンの顔面を殴った!1発!2発!3発!
マリリンは殴られながらナイフを出すと、ボッサンの右肩に突き刺した!
「うわぁぁっ!」
ボッサンは肩を押さえながら揉んどり打って倒れた!
マリリンは息を弾ませながら、口から流れる血を拭って立ち上がった。
ボッサンも右肩を押さえながら立ち上がった。
「そろそろ終わりにしましょうか」
そう言うとマリリンはボッサンに斬りかかった!
向かってくるナイフを避けるボッサン!しかし肩を刺されたダメージがボッサンの動きを鈍くしていた!
マリリンの蹴りがボッサンの腹に入った! 床に倒れるボッサン!
さっきとは逆に、マリリンがボッサンに馬乗りになった!
マリリンはボッサンの左手を押さえつけた!ボッサンの右手はもう動かなかった!
「ボッサン。バイバイ」
マリリンはボッサンに微笑むと、左手に持ったナイフを振り上げた!
その時1発の銃声が轟いた!
そして、ボッサンに馬乗りになっていたマリリンはゆっくりと倒れた。
ボッサンが頭を上げると、うつ伏せでニューナンブを構えているユオがニッコリと笑った。
ボッサンはカオルが気になって、ユオを左手で抱えて部屋を出た。
カオルとフェイフェイが闘っていた部屋に戻って見ると、2人とも床に倒れていた!
ボッサンはカオルに声を掛けた。
「カオル!カオル、生きてるか!」
ボッサンの声に反応して、カオルの手が動いた!
そして上体を起こすと、ゆっくり立ち上がった。
横で倒れているフェイフェイの腹にはナイフが刺さっていた。
ボッサンの血まみれの姿を見てカオルは言った。
「人の心配より自分の心配をしなさいよ。まったく」
カオルは微笑みながらボッサンとユオに近づいていった。
その時、後ろで倒れていたフェイフェイが急に立ち上がり、自分の腹に刺さったナイフを抜いてカオルに襲い掛かった!
「カオル!後ろだ!」
ボッサンは叫んだが、カオルには避ける暇はなかった!
まさにフェイフェイがナイフでカオルを突き刺そうとした次の瞬間、シャッターを突き破って車が突入してきてフェイフェイをはね飛ばして止まった!
その車、装甲車『ハンヴィ』の銃座から迷彩服の男が顔を出し、ゴーグルを上げて言った。
「今、何かぶつかったかな?ま、いいや。あれ?ボッサンにユオ、カオルさん。ヒゲの男はどこいったの?」
そのとぼけた男はローさんだった。ボッサンとユオはその場に座り込んだ。
力の抜けたボッサンはローさんに言った。
「ヒゲの男は隣の部屋でおねんねしてるよ」
それを聞いて運転席から男が降りてきた。こちらも迷彩服を着たラッキョだった。
「あ~、終わっちゃいました か。間に合わないんじゃないかって思ったんですよね。普通、迷彩服まで着ないですよね。まぁ、道を間違えた自分も悪いんですけどね」
ボッサンはローさんに聞いた。
「その車とその格好はどうしたんだ?」
ローさんは腕組みをして言った。
「香港マフィアと戦うのにさ~、パトカーじゃすぐヤられちゃうな~と思って、父上に頼んで米軍から頑丈な車と迷彩服借りてきゃった。
っていうかさ~、迷彩服ってカッコいい!今度は軍隊に入っちゃおっかな、ンフ♪」
ヒゲの男、いわゆるマリリンとフェイフェイは重体だったが、一命を取り止めた。
ホヘトとスギポンとユオも重傷だったが助かった。マリリンの部下も死には至らなかった。
香港マフィア『舎丹鬼』のボス、マリリンの逮捕。ヘロイン精製工場の爆発炎上。そしてヘロイン貯蔵倉庫の摘発。銀行から奪った現金も見つかった。
これにより『舎丹鬼』は事実上壊滅した。
のちにラッキー市長も、マリリンの証言により逮捕された。
ただ1人、ベンツのハンドルに手錠で繋いでおいた霜月が、ハンドルと共に姿を消した。
-Los Angeles world Airports-
翌日、ボッサンは日本に帰国する為に、カオルの運転するパトカーでロサンゼルス国際空港まで送ってもらった。
右手を包帯で吊りながらパトカーを降りるボッサン。
カオルもパトカーを降りた。
カオルはドアに寄り掛かってボッサンに話し掛けた。
「見送りが私だけでごめんなさいね」
ボッサンは頭をかきながら答えた。
「いや、いいんだ。見送られるのは苦手でね。俺よりユオの事をよろしく頼むよ」
「分かったわ。退院したらDHLで送ってあげるわよ」
カオルはボッサンに歩み寄ると、微笑みながら右手を出して言った。
「色々あったけど結構楽しかったわ。あ、右手はだめだったわね」
ボッサンは左手で握手をしながら言った。
「こちらこそ色々とありがとう。ただ残念なのは霜月に逃げられた事だな」
カオルは神妙な面持ちになって言った。
「また来るでしょ?」
ボッサンは、青く澄み切った空を見上げて言った。
「あぁ、このカリフォルニアの空もまた見たいしな。また来るよ」
ボッサンはカオルに視線を戻して言った。
「じゃあそろそろ行くよ。またな」
ボッサンは軽く手を上げて空港の入り口に行こうとした時、カオルは声を掛けた。
「忘れ物よ」
「ん?」
振り返ったボッサンに、カオルは背伸びをしてキスをした!びっくりしているボッサンに、カオルは頬を赤らめて言った。
「私の事忘れないでね」
ボッサンはカオルを見つめて言った。
「忘れそうだな。今のじゃ」
「え?」
ボッサンは左手でカオルを引き寄せると、熱いくちづけを交わした。
そして、潤んだ瞳で見つめるカオルの頬を、ボッサンは優しく撫でながら言った。
「カオル、君の事は忘れない。また会いに来るから、それまで元気でな!」
ボッサンは空港の入り口に入っていった。
カオルの瞳からは涙がこぼれ落ちた。カオル自身こんなに涙が出るとは、こんなに悲しいとは思ってもみなかった。
ボッサンの後ろ姿が涙で滲んでも、滲んで見えなくなっても、カオルはずっとそこに立ち続けていた。
1ヶ月後
-Little Tokyo-
中華料理「OGUMAYA」
店の奥で店主の小熊が暇そうに新聞を読んでいる。
そこへ1人の男が入って来てカウンターに座った。
小熊は水を入れて男の前に置いた。
「いらっしゃい。あれ?お客さん前に来た事あるよね?見覚えあるよ、記憶力はいいから。
で?ご注文は?」
その男はニヤリとして言った。
「炒飯!めっちゃ大盛で!」
END




