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最後の企み

-Chinatown Warehouse-


ヘロインの貯蔵倉庫でヒゲの男を追いつめたボッサン、ユオ、カオル。

ボッサンはヒゲの男に向かって言った。


「よくも今まで騙してくれたな!ヒゲのおっさんよ!」


ダークスーツに帽子を目深にかぶり、サングラスを掛けたヒゲの男は両手を上げたまま言った。


「何の事だ?言ってる意味がよく分かんねぇんだけど」


そこへホヘト、スギポン、フェイフェイが、シャッター横のドアから入って来た。

それを見てユオが言った。


「ホヘトさん遅いっすよ。もう終わっちゃいました~」


ホヘトは大げさに悔しがった。


「くっそ~!一足遅かったか~!」


ボッサンはホヘトたちに構わず叫んだ!


「とぼけるんじゃねぇよ!じゃあ言ってやるよ!


お前の正体は、マリリンだろ!」


ユオが不思議そうな顔で言った。


「マリリンって?あのオカマバー『マリリンの部屋♪』のマリリン?意味分かんないんだけど?」


ホヘトは笑いながら言った。


「何言ってんだろなボッサンは。とうとう焼きが回ったか?」


ヒゲの男は両手を下ろして鼻で笑いながら言った。


「何だよマリリンって?おれは男だぜ!」


ボッサンは言った。


「じゃあその帽子とサングラスとヒゲを取ってみろ!

マリリン、いや、野刈剛次!」


ボッサンの言葉を聞いて、ヒゲの男は明らかに動揺していた。

しばらくうつむいていたが、顔を上げて口を開いた。


「わかったよ。素顔を見せてやる!」


みんなが見守る中、ヒゲの男はサングラスを外し、付けヒゲを剥がし、そして帽子を取ると、長い黒髪が広がって伸びた。

そこに現れたのは紛れもなくマリリンだった!

最初に声を上げたのはホヘトだった!


「え~!マリちゃん?何でここにいるの~?」


ボッサン以外はみんな、目の前で起こった大変身に目を疑った!

唖然としているみんなの前でボッサンは言った。


「俺も真実を知った時は信じられなかったよ。って言うか信じたくなかった」


ヒゲの男、というかマリリンは、長い黒髪をかきあげながらさっきとは全く違う艶っぽい声、まさしくマリリンの声で喋った。


「ボッサン、よく分かったわねぇ。いつ頃から気付いたの?」


ボッサンは静かに喋り始めた。


「最初にヒゲの男と会った時、微かに香水の匂いがしたんだ。

それから店でお前に会った時、同じ香水の匂いがした。その時から何となくおかしいなと思ってた。

ヒゲの男に逃げられた時、俺はヒゲの男の肩に銃弾を当てていた。だから店でお前に会った時は肩に怪我をしていた訳だ。

あの時お前は飲み過ぎて汗かいてたって言ってたけど、今思えば、ホヘトに怪我してる肩を揉まれて、激痛に耐えていた汗だったんだな」


マリリンは苦笑いしながら言った。


「あの時はいたかったわ~!けんちゃんを絞め殺してやろうかと思ったわ♪」


ホヘトは、マリリンがヒゲの男だったという事がまだ信じられない様子でいた。


「マリちゃんがヒゲの男…… そんなバカな…… 」


うつ向いてショックを受けている様子のホヘトに、マリリンは追い討ちをかけるように言った。


「私がロスで昔の仲間と新しい組織を作る為に、あなたを利用させてもらったわ。

ロスに連れて来てもらったのもそうだし、銀行を襲わせる時も、あなたの手帳のスケジュール表が役に立ったわ」


ホヘトは顔を上げてマリリンを睨むと声を荒立てて言った。


「マリちゃん!俺とのあの夜の事は遊びだったのか!」


「あの夜の事?...あぁ~、総理の息子誘拐事件が解決した夜、私の家にあなたが泊まった日の事ね?

あの時あなたは酔っぱらってグーグー寝ていただけよ。

何にもなかったわよ」


「くっそ~!俺の純粋な気持ちを踏みにじりやがって!」


悔しがるホヘトを見てユオは呟いた。


「純粋?奥さんいるのによく言うよ」


ボッサンはマリリンに言った。


「ヒゲの男とマリリンの共通点はもう1つある。

俺とカオルでお前を尾行した時、入っていったのがオリエンタルビルだ。

そしてお前が働くオカマバー『NEW MALlLllN'S ROOM♪』があるのもオリエンタルビルだ!

それと、これは偶然なのかもしれないが、お前の本名『野刈剛次』。この漢字の中に『マリリン』の文字が隠れていた。


ヒゲの男の唯一の手掛かりの『スターダスト』のマッチ。これにはヒゲの男の指紋が絶対着いていると思って、すぐに日本へ送って調べてもらったよ。

そして野刈剛次が浮かび上がった。野刈剛次は、友人の証言によると、

『奴らに復習してやる!その為だったら、野刈剛次は死んでも構わない!』

そう言って、タイに旅立ったそうだ。

タイと聞いてピンと来たよ。

タイと言えば全身整形が有名だからな。

すなわち、タイで全身整形をして、野刈剛次を殺して女のマリリンとして生まれ変わったという事だ!」


マリリンはため息をつくと表情が暗くなり、静かに語り始めた。


「2年前、香港マフィア『佗刃射たーはい』の奴らに妻と息子を間違って殺されて、私は復習を誓ったの。復習の為なら私はどうなってもいいと思ったわ。

私はタイに行って全身整形して女に生まれ変わり、香港に乗り込んでいったわ。

私は手に入れた美貌を武器にして、『佗刃射』の幹部を次々に殺していった。最後はボスに近づき、誘惑してベッドの上で奴を絞め殺してやったわ!

『佗刃射』を1人の女が潰したというのが噂になって、私を慕っていろんな奴が集まって来たわ。

そうして私は新しい組織『舎丹鬼』を作って、ボスとして香港を取り仕切ってきたのよ。

その内に警察の手が伸びて来たから、私は『舎丹鬼』を部下に任せて日本に戻ったわ。そして、オカマバー『マリリンの部屋♪』を始めて身を潜めていたのよ。

半年位たった時、店に偶然RJがやって来たわ。RJは香港で『舎丹鬼』と敵対してた組織『李乃巳りーのみ』のボスで、私に気付くと言ってきたわ。

(お前が居なくなった香港は俺の組織『李乃巳』が仕切ってる。お前の過去をバラされたくなければ、ここで大人しくしてろ!)ってね。

覚えてるでしょ?香港マフィアのRJたちの事」


ボッサンは天井を見上げて考えた。


「ん~っと、たしかRJがデブで、宝石店店主の弟がハゲだったよな」


「どうでもいい事を覚えているのね。

ボッサンたちはRJたちの貨物船に乗り込んで香港まで行ったでしょ!

貨物船が香港港に着く事を香港警察に教えたのはこの私よ。

RJが邪魔だったから、香港警察に捕まえて貰おうと思ってチクったのよ。

香港警察の加勢がなければ、あなたたちは死んでたでしょうね。

結果的にボッサンたちを助ける形になったわね」


ホヘトが思い出しながら言った。


「そう言えばあの時、香港警察に匿名で電話があったって言ってたっけ」


マリリンは腕を組んで言った。


「そうそれよ!詳しい事は、あぶねー刑事☆香港マフィア編(改訂版)の第13話に書いてあるから後で読んでみなさいよ」


ボッサンは咳払いをしてマリリンに聞いた。


「ラッキー市長とはいつ知り合った?」


マリリンは答えた。


「ロスに香港の仲間を呼んで『舎丹鬼』をまた立ち上げた時、ラッキー市長、あの時は市議会議員だったけど、私に近づいてきたの。そして脅してきたわ。

(ロスでやっていきたけりゃ今の市長を殺れ。市長が居なくなれば市長選挙の投票数2位の俺が繰り上がって市長になれる。俺が市長になったらお前らの縄張りは保証する。嫌ならロス市警にお前らを追い出してもらうだけだ)

私は言う通りに市長を抹殺したわ。そしてラッキー議員は市長になり、『舎丹鬼』の縄張りも確保された。変装した方がいいと言ったのはラッキー市長だったわ。

私は付けヒゲにサングラス、帽子を被り、サラシを胸に巻いて男として振る舞ったわ。

組織の資金稼ぎに銀行を襲ったのも、ラッキー市長の提案だったのよ。ホヘトをリトルトーキョー分署の署長にしたのも、ラッキー市長の差し金で、銀行強盗の捜査の手を甘くさせる為だった。

すべては計算通りにいっていたのよ!ボッサンとユオ、あなたたちが来るまではね!」


マリリンは、ボッサンとユオを睨み付けた!

カオル、ホヘト、スギポン、フェイフェイはマリリンの後ろで黙って聞いていた。

ボッサンはマリリンに歩み寄りながら言った。


「マリリン、これでお前も終わりだ!観念しろ!」


ボッサンが手錠を出すと、マリリンは突然笑い出した!


「ホ~ホホホホホ!ボッサン、私を捕まえられると思ってるの?甘く見ないでよ!まだ終わりじゃないわよ!ホ~ホホホホ!」


高笑いをするマリリンにボッサンは言った。


「負け惜しみを言うな!この状況で何が出来るって言うんだ!」


ボッサンたち6人に取り囲まれながら高笑いするマリリンの声は、倉庫に響き渡った!


























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