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最後の賭け

-L.A.City Hall-


ロサンゼルス市庁舎は1928年に建てられた建造物で、その外観が日本の国会議事堂にそっくりという事で、日本人観光客が多く訪れる隠れた観光スポットになっている。


カオル、ボッサン、ユオ、霜月の乗ったパトカーは、ロサンゼルス市庁舎の駐車場に止まった。

ボッサンは、スギポンから受け取った紙袋から四角い機械を取り出すと、ダッシュボードに置きスイッチを入れてアンテナを伸ばした。


「カオル、このダイヤルを回して電波を拾ってくれ。声が聞こえたら、このボイスレコーダーで録音してくれ。5分位で戻るから。頼んだぞ!」


「何だか分かんないけど分かったわ」


カオルは納得のいかない表情でボイスレコーダーを受け取った。


「よし!ユオ、行くぞ!」


そう言って車を降りたボッサンは、ユオと2人で市庁舎に入っていった。



市長室では、ラッキー市長が1人で携帯電話を掛けていた。


「lt is today. Prepare. understood?(今日だ。準備しとけ。わかったな?)」


ラッキー市長は携帯電話を切った。と、同時にいきなりドアが蹴り破られた!


「What! What are you?(なんだ!何者だ?)」


ラッキー市長は椅子から立ち上がった!

部屋に入って来たのは、ボッサンとユオだった!


「お前ら!よく入って来れたな!」


ボッサンは親指で後ろを指しながら言った。


「警備の奴らか?後ろでおねんねしてるぜ!」


後ろの廊下に警備員が2人倒れていた。

ユオはドアを閉めた。

ボッサンはラッキー市長のデスクに向かって歩いていった。


「色々と世話になったから、一言お礼を言いに来てやったよ」


「お前らには帰還命令が出てる筈だぞ!」


ボッサンはデスクに手をついて言った。


「よくご存じで。もっとも命令を出した本人だから知ってて当然か」


「さっさと帰れ!さもないと警察を呼ぶぞ!」


ラッキー市長は携帯電話を取り出した。

ボッサンは薄笑いを浮かべながら言った。


「警察ならここにいるぜ。そう慌てるな。霜月を外の車に待たせてるから直ぐに帰るさ。

その霜月が、お前とヒゲの男の関係を証明してくれれば、直ぐに戻って来てお前を逮捕してやる!」


「そんな事出来る訳がない!」


「出来るさ。霜月はな、万が一の事を考えてお前とヒゲの男の関係を調べ上げていたよ。証拠もあるそうだ。

罪を軽くしてやるって持ち掛けたら、洗いざらい喋るってよ。今証言すると殺されちまうから、日本に行ってから喋るとさ」


ラッキー市長は動揺し始めた。


「で、出任せを言うな!」


「出任せかどうかは待ってりゃ分かるさ。精々首を洗って待ってるんだな!ユオ、行くぞ!」


ボッサンとユオは部屋を出ていった。

ラッキー市長は両手の拳を強く握りしめて、デスクを思い切り叩いた!


「 Damn it!(くそ~!)」


ボッサンとユオは走って車に戻った。車に乗り込んでカオルに聞いた。


「どうだ?聞こえるか?」


カオルは親指を立ててウインクした。


「バッチリよ!しかしよく盗聴機を仕掛けられたわね!」


ボッサンはタバコに火を着けながら言った。


「奴のテーブルに手をついた時、テーブルの裏に仕掛けてやったのさ」


カオルは振り返って霜月に聞いた。


「話の中で、あなたラッキー市長とヒゲの男の関係を知ってるって言ってたわよね。本当なの?」


霜月は首を左右に振りながら答えた。


「知らん知らん、知りたくもないわ」


ボッサンはカオルに言った。


「あれは真っ赤な嘘だ。カマを掛けたのさ。さぁ~て最後の大バクチだ!尻尾を出してくれよ!」


ボッサン、カオル、ユオ、ついでに霜月も受信機の音に耳を澄ました。


{......剛か?俺だ。ヤバいぞ!俺とお前の関係を霜月は知ってるぞ!

...何?って、前市長の暗殺を、俺がお前に依頼した事に決まってるだろ?

...とにかく霜月を日本に連れて行かれちゃまずい!霜月を殺れ!空港に着く前にだ!

...日本から来た刑事2人とカオルもまとめて殺っちまえ!

......黙っていう事を聞きゃあいいんだ!市長を始末した代わりに、リトルトーキョーで好き勝手やらせてやってんだぞ!

おまけに資金調達の銀行強盗まで目をつぶってやってんだ!

いいな、生かして帰すなよ!


...... Mother Fucker!(クソッタレ!) }


ボッサンはガッツポーズをとった!


「うっしゃ~!後はヒゲの野郎が襲って来たら取っ捕まえるだけだ!」


カオルはボイスレコーダーのスイッチを切りながら言った。


「前からラッキー市長の黒い噂は流れてたのよね。これがあればラッキー市長を追い込められるわ!」


霜月が冷静に言った。


「生きて帰れればの話やな」



ボッサンたちは、ヒゲの男たちが待ち受ける空港への道のりへ、車を向けて走らせた。


「ボッサン、催涙弾で大丈夫かな~」


パトカーのトランクにあった、群衆鎮圧用のグレネードランチャーに催涙弾を装填するユオ。後はハンドガン3丁。

ユオの心配そうな問いかけに、ボッサンはハンドルを握りながら答えた。


「大丈夫!心配するな」


ユオは聞き返した。


「その自信は何?」


ボッサンは胸を張って答えた。


「俺がいるから」


霜月は手錠の掛けられた両手を突き出して訴えた。


「誰か~!この手錠外してくれ~!このまま死にたくないわ~!」


ボッサンはルームミラーを見て言った。


「それは出来んな。どさくさに紛れて逃げられちゃ困る」


ボッサンの運転で空港に向かうパトカーは、交通量の少ない通りに出た。

カオルは辺りを用心深く見渡した。


「この辺で出て来そうじゃない?」


ボッサンはホルスターからガバメントを抜き、スライドを引いて弾丸を装填した!

そしてセフティを掛けるとホルスターに戻した。

ボッサンがルームミラーを覗くと、案の定脇道から黒い車が3台出て来た!


「おいでなすったぞ~!ユオ、窓開けろ!いつでも催涙弾撃てるようにしとけ!霜月は伏せてろ!

どっからでもかかって来いや~!」


3台の黒い車は徐々にスピードを上げて、ボッサンたちの乗るパトカーに迫っていった!










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