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帰還命令

ボッサンとカオルは、あと一歩という所でヒゲの男を取り逃がした。そして黒いスーツの男たちに拉致され眠らされて、街の中に放り出された。


(あの黒いスーツの男は、確かにラッキー市長の護衛のシークレットサービスだった。

ラッキー市長の命令でヒゲの男を護衛していたのか。

それとも俺とユオを監視していたのか。

どっちにしろヒゲの男には手を出すなという事なのだろう。

そもそもラッキー市長とヒゲの男は何で繋がっているのか、それがカギだ )


新聞には、昨日のヘロイン精製工場の爆発事件はヘロインのへの字も触れず、ただの火災として片付けられていた。






-川口警察署 捜査1課-


ここは日本。埼玉県の川口警察署捜査1課。

ボッサンとユオが所属している課であり、半年前までホヘトも在籍していた。

ここの捜査1課の親分というか刑事長が、神倉親分...じゃない神倉裕次郎、通称『ラッキー刑事長』だ。

ラッキー刑事長は、資料を片手に携帯電話をかけた。


「...ハロー、ボッサンか?どうだいそっちは、金髪のおねぇちゃんとウマイ事やってるか?

.....何?ラッキーさんと違って?そんな暇はない?うるさい!

ところでボッサン、そっちで何やらかした?上から、ボッサンとユオを呼び戻せってお達しが来たぞ!

......もちろん霜月を連れてだ。

......何?いやだ?そうなるとだ、ボッサンとユオ、それに俺も職を失う事になるんよ。

......ん?...ラッキー市長?...... ふざけた野郎だ!名前は一緒でも俺とは大違いだな。

...何?大して変わらない?バカヤロ~。いいから大人しく戻って来い!

あ~それから、戻って来いって言っといて何なんだけどさ、ボッサンが送ってきた『スターダスト』のマッチ。指紋が出たんよ。調べたら~、ちょっと待てよ~。

名前は、野刈剛次のがりごうじ。飲み屋で暴れてトラ箱に1泊してるな。妻の和美と息子の一馬は2年前に死んでる。

剛次は現在行方不明。

......奥さんと息子か?俺も気になって調べたんよ。したっけ、家族3人で香港旅行に行った時、マフィアに奥さんと息子を殺されたんだと。敵対するマフィアの宿泊している部屋と間違われたらしいんだ。たまたまフロントに行っていた剛次だけ生き残ったんだとさ。だから香港マフィアには怨みがあるわけよ。

野刈剛次と親しかった男に聞いたら、一緒に酒を飲んだ時に言ってたそうだ。

『奴らに復習してやる!その為だったら、野刈剛次は死んでも構わない!』って。そんで次の日には旅立っていったそうだ。

......ん?何処にいったか?それがな......






-LittleTokyo "MlYAKO HOTEL"-


ボッサンとユオは、リトルトーキョーの都ホテルにいた。

ロスの滞在中はここで寝泊まりしている。

ボッサンは、日本にいるラッキー刑事長と電話中。


「そんで剛次は?

......!なるほどな。見えてきたぞ!

じゃあ後2、3日したら帰りますんで。

......冗談ですよ。帰りますよ!...はい。それじゃ」


携帯電話を切ったボッサンに

ユオは聞いた。


「ラッキーさん寂しそうだった?」


「ああ、早くお前をイジメたいとさ」


「もう帰るの?」


「ああ、上からの命令らしい。多分ラッキー市長が手を回したんだろう。

でもその前にひと芝居打ってからだ」


「人縛りぶってから?拷問?」


「...」




-LittleTokyo Branch office-


ボッサンとユオは、ホヘトたちへお別れを言いにリトルトーキョー分署へやって来た。


「ホヘト、色々世話になったな」


ホヘトは椅子から立ち上がり、ボッサンの前に来て右手を差し出した。


「いえいえ、何のお構いもしませんで。また機会があったら来て下さいね」


ボッサンはホヘトと握手をしながら言った。


「1つ忠告しておくが、そのヒゲやめた方がいいぞ」


隣でユオが頷いている。


「え~、そんなに似合わないかな~」


ホヘトが振り返ると、スギポン、ラッキョ、ローさん、フェイフェイも頷いていた。


「ま~、そういう事だから。あ、それからスギポン、車を燃やしちまって悪かったな。請求書は本部に回しといて」


スギポンはボッサンと握手をしながら言った。


「ちょうど買い換えようと思ってたんで、保険金で新しいのを買いますよ。それと電話で頼まれた物、持って来ました」


スギポンが差し出す紙袋をボッサンは受け取った。


「すまない。それからラッキョ。スギポンをあんまりイジメるなよ」


ラッキョもボッサンと握手をして言った。


「そうっすね。一応先輩なんで程々にしときますよ」


スギポンが後ろから声を張り上げた!


「何だよ一応って!」


「それから~、フェイフェイ。オッチョコチョイなんだから慌てないで落ち着いて行動するように」


フェイフェイは深々とお辞儀をしてから握手をした。


「ありがとうございます!

気を付けて帰ってください」


「それと、ローさん。ローさんは...... そのままで」


ローさんは両手でボッサンと握手をした。


「あざ~っす!現状維持!直す所はないって事ね、ンフッ♪」


「それじゃあ達者でな。誰か本部まで送ってくれっか?」


ボッサンとユオは、フェイフェイの運転するパトカーで本部まで送ってもらった。

本部で霜月を引き取り、今度はカオルの運転するパトカーで空港に向かった。

助手席でボッサンが、ハンドルを握るカオルに言った。


「ちょっと挨拶したい奴がいるから寄ってくれないか?」


「誰よ、挨拶したい奴って?」


「ラッキー市長に一言お別れを言いたくてな」


カオルは疑いの眼差しでボッサンを見た。


「本当に挨拶だけなんでしょうね」


後ろの席で霜月は、手錠を掛けられた両手を頭の後ろに回して言った。


「どうでもええけど腹減ったわ。チャーハン食いに行かへん?」


ユオが隣で頷きながら言った。


「腹減った~、行こ~行こ~!」


ボッサンは後ろを振り返って言った。


「ひと仕事あるから食ってる暇はねぇな。腹一杯じゃ動けねぇし」


ユオは不思議そうに聞いた。


「何、ひと仕事って?」


ボッサンはニヤリとして言った。


「な~に軽い運動さ」


カオルの運転で、ボッサン、ユオ、霜月を乗せたパトカーはロサンゼルス市庁舎へと向かっていった。































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